【タイ】タイのメディアが米不動産コンサルタント大手「クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・サービシズ・タイランド」の見通しとして伝えるところによると、タイの産業用不動産市場は拡大を続けているものの、工業団地外の倉庫市場は減速している。大口利用者であるEC(電子商取引)企業が自社施設への投資を進め、外部倉庫への依存を減らしているためだという。
同社の調べでは、今年第3四半期の工業団地外倉庫は供給過剰となり、一部では空き率が30~40%に達した。「過去1~2年の物流事業者間の競争激化でサービス料が下落し、倉庫賃料も下押しされている。撤退する事業者も出ており、供給過剰が一段と進んでいる」という。
倉庫市場は過去3年間、中国資本を中心に投資が集中した。コロナ禍のEC需要急増に対応するため供給が急拡大した結果、現在の供給過剰につながっているもよう。
完成済み倉庫(RBW=レディービルト・ウエアハウス)は、開発業者が米国の関税措置の影響などを受けて新規供給を見送った。ただ、第3四半期は新規供給がなかったため、国内RBW市場の総面積は約600万平米にとどまり、空き率が第2四半期の19%から17.2%に低下した。
地域別では、東部サムット・プラーカーン県の空き率が最も高く、351万平米で21.5%。次いで東部臨海工業地帯(イースタンシーボード)が160万平米で16.3%、中部が88万平米で14.2%だった。
今後の新規供給計画は、今年第4四半期から2028年第4四半期にかけて、バンコクで1件、サムット・プラーカーン県で4件の計45万9000平米が見込まれている。4件は工業団地内に開発中。
一方、第3四半期の工業団地内の造成済み工業用地(SILP)は22万1458ライ(1ライ=1600平米)に達し、空き率は前期の8.69%から7.13%に低下した。平均地価は1ライ当たり804万バーツと、第2四半期の787万バーツから上昇。現在、1万6297ライ分の新規造成が進行中だという。
地価が最も高いのはいずれも東部。サムット・プラーカーン県、チャチュンサオ県、チョンブリー県北側で1ライ当たり1200万~1400万バーツ。チョンブリー県南側やラヨーン県では550万~750万バーツ、中部アユッタヤー(アユタヤ)県では平均600万バーツ前後だという。