タイ外相「一方的な平和」は交渉の対象外 カンボジアの国連での演説受け

【タイ・米国】シハサック・プアンケートケーオ外相は9月27日(現地時間)、米ニューヨークで開かれた第80回国連総会で演説し、カンボジアが国境問題を巡って「虚偽を繰り返し、挑発行為を続け、停戦合意に違反しながら被害者を装っている」と痛烈に非難した。カンボジアのプラック・ソコン副首相兼外相の演説を受けたもの。

 プラック副首相は総会の演説で、「数十年来居住してきたカンボジア民間人が立ち退きを強いられ、緊張を伴う地域で一方的な攻撃を受けた」と主張した。発言は、タイが1970年代、東部サケーオ県コークスーン郡の国境沿いで提供した、内戦から逃れてきたカンボジア難民のための区画に言及したものと思われる。難民は世代が交代してもそのまま残留している。

 シハサック外相はタイ帰国後の29日、記者団に対して「タイは外交努力を続けるが、誠意を欠いた一方的な平和は交渉の対象としない」と断言。「対話の扉を閉ざすつもりはないが、選択肢は二つしかない。対立を深めて損失を拡大させるか、あるいは平和と安全のための対話に臨むかだ」と強調した。

 また、「タイとカンボジアは隣国同士であり、そもそも二国間の枠組みで解決すべき国境問題。国際社会に持ち出すとしても、事実を歪曲することは解決の妨げとなる」と、カンボジアをたしなめた。

 今後の対応については、アヌティン首相や治安当局と協議すると説明。その一方で「両国間で新たな協議は行われていない」とも述べ、今後の展開に懸念を示した。

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シハサック外相 写真:タイ外務省ホームページより

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