【タイ】タイ陸軍は7月2日、国境が未確定で現状タイが実効支配する東北部スリン県パノム・ドンラック郡のクメール遺跡「プラサート・タームアン・トム」が、グーグルマップでカンボジア領として示されていることに関し、「法的に従う義務はない」と発表した。同マップ上では、遺跡は「Prasat Ta Muan Thom Cambodia」と表記され、国境線も遺跡の数百メートル北側に引かれている。
タイ側の主張によると、同地域の国境線は1935年に分水嶺を根拠に引かれた。カンボジアがフランス領インドシナから独立したのは1953年で、同国が成立する以前から現在の国境は「不変」としている。
プラサート・タームアン・トムには、遺跡北側のタームアン町から伸びる国道2407号線が直結。境内もタイ陸軍兵士が非武装で警備に当たっている。カンボジア領との国境通過地点には木の枝で作られた簡素な人工物があるだけで、カンボジア人の遺跡参拝は自由。国境沿いには多くの地雷が残っているため、国境通過地点以外での人の行き来はないという。
カンボジアは5月28日に発生した両国国境での銃撃戦をきっかけに、プラサート・タームアン・トム周辺を含めた未確定地域の領有を改めて主張。国際司法裁判所(ICJ)に問題解決を要請する書簡を送付した。