【タイ】タイ国立開発行政研究院(NIDA)が実施した、政権や首相に関する世論調査の結果で、国民の過半数が野党および野党党首を支持し、与党第1党プアタイ党とペートーンターン首相への支持が急落していることが分かった。同調査は6月19日から25日にかけ、全国2000人を対象に実施された。
首相に最もふさわしい人物として挙げられたのは、トップが最大野党プラチャーチョン党の「ナタポーン・ルアンパンヤーウット党首」で32%だった。同党は、2023年5月の下院選で第一党に躍り出たガウクライ(前進)党の後継党。調査では、ナタポーン党首は若い世代ながらも自らの政治的立場を表明したり積極的に意見を述べたりする勇気があり、現代的で明快な考えを持っている、と評価された。
次いで意見が多かったのが、「次期首相の適任者なし」で20%だった。
2人目は「プラユット・ジャンオーチャー元首相(陸軍司令官)」で13%。2014年のクーデターで軍政トップとなった人物で、国家秩序を回復させる能力、率直さ、誠実さが評価された。現在はタイ枢密院の枢密院顧問官を務め、政界から身を引いている。
3人目はプームジャイタイ党の「アヌティン・チャーンウィーラクーン党首(前副首相・内相)」で10%。同党は連立第2党だったが、ペートーンターン首相の発言内容を問題視して離脱。アヌティン党首を含む8人が閣僚を辞任した。
4人目はペートーンターン現首相で9%。NIDAによる3月の世論調査では31%の支持を得ていたが、いわゆる「裏切り発言」で信用を失墜させた。
支持政党に関する調査では、プラチャーチョン党が46%で最多の支持を得た。次いでプラユット元首相系のルワム・タイ・サーンチャート党(タイ国家団結党)13%、プアタイ党12%、プームジャイタイ党10%、支持政党なしが8%だった。
ペートーンターン首相は6月15日に非公式でカンボジアのフン・セン元首相と電話会談し、自軍の司令官を「向こう側の人間」と表現。フン・セン元首相が録音した音声クリップが18日にカンボジアで公開され、いわゆる「裏切り発言」としてタイ国民に広く知られてしまった。