【タイ】デロイトグループのタイ現法、Deloitte Touche Tohmatsu Jaiyos Co., Ltd.の調査によると、過去1年で不動産購入を目的とした300万バーツ(1300万円相当)以下の金融機関へのローン申請で、70%が落ちてしまっていることが分かった。家計債務残高がGDP(国内総生産)の89.6%に達するなど(2024年第2四半期)、負債が消費を圧迫している現状が明らかになった。
当リポートは、タイ政府住宅銀行(GHB)の不動産情報センター(REIC)による統計を交えた調査結果を発表している。アンケートに回答した不動産購入希望者の32%が自宅用、18%が投資・投機・賃貸目的と答えた。年齢層では25歳から34歳が最も多く、49%とほぼ半数を占めた。月収は全体の35%が1万5001~3万バーツだった(いずれも2024年第2四半期)。
全国での土地売買成立は2024年上半期で、前年同期比14.7%減少している。北東部が最も落ち込んで同67.1%減、次いで南部が同36.5%減、バンコク首都圏は同5.1%減となった。いわゆる上物の建設が許可された面積は全国で同14.9%減、バンコク首都圏は24.8%と最も減少した。
このような傾向から、デベロッパーはよりハイエンドな不動産の開発にシフトし始めている。土地売買件数は減少しても、地価(価格)ベースでは上昇しているという。2024年第2四半期の3カ月を見てみると、バンコク首都圏での販売実績は戸数ベースで1万6442戸の前年同期比27.3%減にとどまったが、評価額ベースでは1847億9000万バーツで、同43.8%増を記録した。
外国人によるコンドミニアム購入は2024年第2四半期、前年同期比6.2%減の3342戸、価格ベースでは148億7400万バーツで同17.7%減となった。県別ではチョンブリ県が全体の38.4%で最多、次いでバンコクの36.4%だった。300万バーツ以下の物件に絞ってみると、戸数1737戸で過半数を数えた。同価格帯は2019年以降、外国人購入者の間で最も人気があるとされる。
国籍別では中国人が最多の2872ユニットで全体の39.5%を占めた。次いでミャンマー人が638ユニット(同8.8%)、ロシア人が567ユニット(同7.8%)。購入価格は、中国人が1戸当たり平均460万バーツ、ミャンマー人が同510万バーツ、ロシア人が同330万バーツ。
不動産セクターを刺激するべく、政府がいくつかの対策を講じている。例えば2024年4月には、700万バーツ未満の住宅物件について、所有権移転手数料と住宅ローン手数料をそれぞれ0.01%に引き下げる措置を打ち出した。GHBは総額200億バーツを準備し、300万バーツ未満の不動産購入を対象とした低金利プログラム、「ハッピーホームプロジェクト」を展開した。
同調査結果は、Ms. Nisakorn Songmanee(Partner – Audit)およびMs. Tasada Sangmanacharoen(Senior Consultant – Clients & Markets)の署名で発表された。