タイ中銀、イラン戦争長期化なら「最悪シナリオに限界なし」 2026年の成長率を下方修正

【タイ】タイのメディアがロイター電として報じるところによると、タイ中央銀行(BOT)が、イラン戦争の影響で今年の経済成長が鈍化しており、紛争が長期化すれば「最悪の事態に限界はない」と警告した。チャヤーワディー・チャイアナンBOT副総裁がロイター通信の取材で語った。

 タイ中銀は、戦争が年後半に終結した場合の2026年のGDP成長率見通しを1.3%に下方修正。昨年12月時点の予測1.9%から低下し、政府が2月に示した1.5〜2.5%の見通しも下回る。インフレ率は3.5%に達すると見込む。

 東南アジア諸国の中でも輸入エネルギーへの依存度が高いタイ経済は、米国・イスラエルとイランの衝突による観光低迷と輸入コスト上昇に直面している。チャヤーワディー副総裁は米ワシントンで開かれたIMF・世界銀行春季会合の場で、「多くの分野で下向きの傾向が続く」と述べた。

 湾岸諸国からタイへの旅行者・観光客は3月にほぼゼロとなり、イランによる攻撃で地域空港が閉鎖された影響が続いている。これらの富裕層旅行者はタイの観光支出全体のおよそ7%を占めており、回復には時間がかかる見通し。マレーシアからの旅行者も燃料費高騰で自動車による来訪が減少している。

 チャヤーワディー副総裁は、「危機前の経済基盤が強固だったことが衝撃吸収に役立っているが、圧力は非常に大きい」と述べ、「最悪のシナリオには限界がないほど深刻」と強調した。政策当局は当初、経常収支が黒字になると見込んでいたが、見通しは下方修正が必要で赤字転落の可能性も否定できないという。

 金利引き上げについては、インフレが1年以上続いた場合に検討する可能性があるものの、確定的ではないという。一方、2〜3月に株式・債券市場から資金流出が見られたが、4月には再びプラスに転じており、管理可能な範囲にあると説明した。

 今年10月にバンコクで開催される予定のIMF・世界銀行年次総会では、紛争の影響を受けた国々の現状を世界の関係者が直接確認する機会になるとし、「その頃にはタイ経済も前進の道筋を示せるはずだ」と述べた。「アジア諸国は強固な経済基盤を持ち、変化への適応力も高いことを示せる」との自信も示した。

●タイ首相、IMFと会談 2026年IMF・世界銀行年次総会の開催に向け

チャヤーワディー副総裁 写真:タイ中央銀行(BOT)フェイスブックより

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