タイ東部のカンボジア国境で有刺鉄線撤去の騒動 建物巡り領有認識に食い違い

【タイ】東部トラート県トラート市バーン・ターセンのカンボジア国境に設置された、タイ側の管理区域を示す有刺鉄線が一部撤去され、タイ海軍が現地を調査した結果を1月16日に公表した。カンボジア側から訪れた中国人グループが、自らが所有するとする建物に立ち入れなくなり、有刺鉄線の一部を撤去していたことが分かった。

 有刺鉄線は、両国の国防相が昨年12月27日に署名した国境紛争を機とする共同声明に基づき、部隊配置線として地域を管理する目的で、トラート海兵隊特別任務部隊が設置していた。海軍報道官によると、有刺鉄線の一部を撤去していたのは周辺で事業を営む中国人グループで、店舗建物内に残された私物を搬出するための行為だったという。

 海兵隊がこれを発見して直ちに制止し、中国人らに聞き取りを行った。タイ側の軍事行動を妨害する意図は確認されなかったものの、海兵隊は「無断での撤去は国家の安全管理措置に影響を及ぼす行為」と説明した。

 同地域には、国境線の解釈を巡る両国の認識の違いを背景に、カンボジア側から進出したとされる中国人投資家が関与するカジノや商業施設が存在している。中国人らは自らの建物の所在地をカンボジア領内と認識していた可能性がある。タイ側が管理区域を明確にするために有刺鉄線を設置したことで、建物がタイ側管理区域内と見なされ、立ち入れなくなったとみられる。

 海兵隊は部外者を区域外に退去させ、有刺鉄線を原状に復旧した。今後は同様の事案が再発しないよう、管理と警備体制を強化するとしている。

写真:タイ首相府

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