10代の妊娠対策を加速 タイ政府「就学継続支援で出産率低下を」

【タイ】タイ政府は、10代の妊娠問題への対策を加速させ、若者が教育の場から離脱するのを防ぐ取り組みを進めている。就学継続を支援する「タイランド・ゼロ・ドロップアウト」事業などを通じ、2027年までに10~14歳での出産率を1000人あたり0.5人以下、15~19歳では同15人以下に抑えることを目標としている。

 アイヤリン・パンリット政府副報道官によると、タイでは2016年に「10代妊娠防止・解決法」が施行されており、保健省と教育機会均等基金の連携による「タイランド・ゼロ・ドロップアウト」事業を通じ、妊娠した若者が教育制度に復帰できるよう支援している。

 全国の政府2241機関が各種計画や事業を実施し、企業3万4333社が若年労働者に対して妊娠防止に関する情報提供や啓発を行ってきた。若者が利用しやすい性に関する保健サービスも拡充され、エイズ・予期せぬ妊娠のオンライン相談窓口、相談ホットライン「1663」、フェイスブックページを通じた相談は、3万1355件に上った。

 ほか、LINE公式アカウント「Teen Club」を通じた健康教育や相談支援も行われ、メニュー利用は31万4104回、ライブチャット相談は1万7090件に達した。精神保健ホットライン「1323」への相談は9551件、オンラインでの妊娠に関する選択肢相談は累計9万5103人に上り、安全な人工妊娠中絶の医療サービスにつながったケースは4196人だった。

 若者向けには、学校内で1万5588個、学校外で1万1889個の計2万7477個の無料コンドームと潤滑剤が配布された。社会保障面では、10代の母親1万5128人が新生児養育のための給付金を受給し、子ども・青少年評議会が妊娠防止や見守りに関する486件の事業・活動を展開している。

 10代妊娠防止・解決法の施行や事業の継続で、これまでに妊娠した生徒・学生の75.4%が支援を受け、教育を受ける権利が保護されてきたという。

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