タイからのカンボジア向け電力とネット回線の遮断へ 柬外務省「ICJへの提訴変わらず」

【タイ】タイ外務省は6月11日、カンボジア国境一帯での電力供給とインターネット回線を遮断すると発表した。カンボジア側国境沿いの犯罪拠点の撲滅が理由で、今回の国境紛争を巡る政治的意図はないとしている。

 ミャンマー、ラオス、カンボジアのタイ国境地域では、中国人が多く関与する特殊詐欺や人身取引の国際的な犯罪拠点が点在し、今年1月にはミャンマー内、3月にはカンボジア内の複数の犯罪拠点の存在が明らかになった。タイでは5月末のカンボジア国境での軍事衝突を機に、「カンボジアには強硬な態度を示し、電力供給やネット回線接続を止めるべき」という声が挙がっており、国際犯罪撲滅を理由として実行する形となった。

 タイ周辺国の地方はインフラが未整備で、国境地帯ではタイのインフラに頼ることが多い。タイ政府はミャンマー国境地帯でも、犯罪拠点締め上げで電力およびネット回線を遮断し、成果を上げている。カンボジア・ポイペトの犯罪拠点では、特殊詐欺などの犯罪に自発先に加担したタイ人100人以上が拘束されるという、タイの面子を潰すような騒ぎも起きている。

 カンボジアの強気の姿勢は変わらず、同国外務省は「電力やネット回線を切られても、国境問題の国際司法裁判所(ICJ)への提訴は変わらない」と明言しているもよう。今回の衝突は東北部ウボン・ラーチャターニー県のチョンボック周辺だったが、カンボジアによるICJへの提訴は、ウボン県ほかスリン県の国境一帯を含むとしている。

 スリン県のカンボジア国境には複数のクメール遺跡が残り、タイ側が管轄するもののカンボジア国民は自由に参拝できる。タイ・カンボジア国境で最もいざこざが多い地域。

カンボジアで詐欺関与のタイ人、100人に逮捕状

ウボン県チョンボックを視察するタイ陸軍のブンシン・パートクラーン第2軍管区司令官(中将) 写真:タイ陸軍第2軍管区กองทัพภาคที่ 2フェイスブックより

 

 

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