【タイ】アヌティン・チャーンウィーラクーン首相が洪水被災者に対し、「まずは自身の安全を確保し、ペットのことは後で考えてほしい」と呼びかけたことに対し、ペット・動物飼い主や動物保護団体から反発の声が上がっている。首相府は、「発言は人命を最優先するよう促したものであり、動物の安全を軽視したものではない」と説明している。
アヌティン首相は10月3日、被災地の中部ナコーン・サワン県を視察した際、「まずは自分自身を守ってほしい。ペットのことを過度に心配しないでほしい」と発言した。ペットの安全を心配して避難をためらう住民がいるとも指摘した。
発言は、浸水した自宅にペットとともにとどまるのではなく、高台に設けられた避難所に移るよう被災者に呼びかける趣旨だった。首相は、避難所では動物がほかの避難者の迷惑になる場合があるとし、「一緒に過ごすことはできない。実際に避難所で見てきた。自分のペットをかわいいと思っていても、ほかの人が同じように感じるとは限らない」と述べた。さらに、「政府はまず被災者の救援に注力し、ペットの保護は地方当局に委ねる」との考えを示した。
これに対しSNS上で、「ペットは家族だ」として批判が広がった。犬猫の愛好家向けフェイスブックには、「ペットは愛情をもって家族の一員として育てられている」との意見が寄せられた。Xにも、「犬や猫を家に残して避難することはない。彼らはペットではなく家族の一員だ」との投稿もみられた。ある動物保護団体は5日、「ペットとの絆は言葉では表現できず、心でしか理解できない。彼らは家族であり、決して置き去りにはできない」と投稿した。同団体は前日にも、「こうした繊細な問題についてはより慎重な発言を」と求めていた。
タマサート大学法学部の講師は5日、「避難所内に居住スペースと分離したペット専用区域を設けるべき」と提案した。2011年の大洪水の際、同大学が同様の対応を実施した例を挙げた。また、「首相はペットを飼う人々の気持ちを十分理解していないのかもしれない」と述べた。
首相府は6日、「首相の発言は善意に基づくものだった」と説明。「首相は、飼い主がペットとともに自宅にとどまり続けた結果、水位上昇で避難そのものが危険になる事態を避けるため、速やかな避難を呼びかけたもの」とした。その上で、「発言は洪水時の動物の安全を軽視する意図ではない」と強調した。

























