【タイ】タイ中央銀行(BOT)のウィタイ・ラッタナーコーン総裁は、500万バーツ(2500万円相当)を超える現金を預け入れる際、資金の出所を顧客に説明させる制度を今年第4四半期に導入すると明らかにした。地下経済や不透明な資金の流通を抑えるため、現金取引の監視を強化する。
ウィタイ総裁は経済記者団との会合で、タイにはインフォーマル経済、地下資金、汚職などの構造的な問題が根強く、中銀として監督下の金融機関が不正資金の流入経路になることを防ぐ必要があると述べた。法的権限の範囲を再確認した上で、預け入れ時の説明義務の詳細を詰めているという。新制度は大口の現金両替にも適用され、1000バーツ札を100バーツ札や500バーツ札に大量に交換する場合、目的や必要性の説明を求める。
今年導入された別の措置では、500万バーツを超える現金引き出しに厳格な確認手続きが課されている。商業銀行や政府系金融機関は、顧客が現金を使う理由を確認し、電子送金や小切手で代替できるかを判断することが求められる。正当な商取引は引き続き認められる。4~5月にかけて措置が実施されて以降、大口の現金引き出しは35%減少したという。今後は全銀行で運用を統一し、現金取引の抑制をさらに進める方針。
また、歴代政権が長期的な経済の弱点に十分取り組んでこなかったとし、構造改革の必要性も強調した。タイの経済政策は短期のキャンペーンや事業に依存する傾向が続き、革新投資やインフラ整備の不足による生産性の低迷、高齢化による労働力の縮小、大企業のみが回復し資金調達できる一方、低所得層や中小企業が取り残される「K字型回復」など、構造的な問題が成長力を損なっていると指摘した。
中東情勢の影響が想定より軽微だったことから、中銀は今年のGDP成長率を2.3%と見込むが、ウィタイ総裁は「より深刻なのは長期的な構造問題だ」と述べ、資源が大企業に集中し、地下経済が拡大する状況を改めて課題として挙げた。























