【タイ】政府は物価上昇による国民負担を軽減するため、軽油に課している物品税を1リットルあたり1バーツ引き下げる方針を固めた。実施されれば、国の税収は月あたり最大20億バーツ(97億円相当)減少する見通し。
ピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は、中東情勢を監視する合同対策センターの会合後、内閣が減税を承認したことを明らかにした。ただ、実施時期については選挙管理委員会(EC)の承認が必要で、同委の判断を待つことになる。同相は「段階的に進める必要がある」と述べ、過去の政権が物品税をゼロまで引き下げた例に触れつつも、財政への影響を慎重に見極める必要があると強調。政府として、国民支援と財政余力のバランスを取る責任があるとした。
財務省のラウォーン・セーンサニット事務次官によると、今回の措置は軽油に限定される。現在1リットルあたり5~6バーツ課されている税率が対象になる。減税はあくまで一時的なもので、今後の対応は国際原油価格や石油燃料基金の仕組み、国家の財政状況を踏まえて判断するとした。
同省物品税局の評価が完了して選管に提出され次第、速やかに実施可能だとし、「国民の負担軽減のみを目的とした措置」とした。「新政権の発足まで待つべき」との指摘に対してラウォーン事務次官は、「すでに価格が上昇しており、2週間も待つ余裕はない。国民への影響を和らげるため、即時対応が必要だ」と語った。
減税による税収減は月20億バーツに上る見込みで、財務省は輸入増に伴う付加価値税(VAT)の増収など代替の検討を進め、財源維持を図る。エネルギー危機や中東情勢の緊張は、2026年のタイ経済成長にとって引き続きリスク要因になるとの認識も示した。
国家経済社会開発評議会(NESDC)のダヌチャー・ピチャヤナン事務局長も、国内の燃料供給は安定していると説明。国内7県22カ所の燃料貯蔵施設を点検した結果、不正は確認されなかったと報告した。各施設の平均在庫は1万リットルで、南部ソンクラー県にあるPTTやシェルの大型施設では在庫が容量の5割未満だったものの、出荷や輸出は適切に行われていたとした。
タイは4月に原油2400万バレル、5月に800万バレル超を継続的に輸入。アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は、国内で精製した燃料を優先的に国内消費に回し、輸入燃料はラオス向けに供給するよう指示しており、これにより1日あたり500万リットル分のエネルギー安全保障強化につながるとしている。
























