【タイ】商務省国際通商局(DFT)によると、タイから米国向け輸出がこの1年で急増したことを受け、米国が「タイ製」を装った製品に対する監視を強めている。タイ政府はこれを受け、原産地表示の偽装を防ぐため、検査体制の強化に乗り出した。
商務省国際通商局(DFT)のアーラダー・フアントーン局長は、特に米国向けに輸出される製品について、同局が関税局と連携して原産地の確認を厳格化する必要があると述べた。タイ製品は従来から米国の反ダンピング(AD)措置の対象として上位に位置している中、昨年は米国にとっての輸入元ランキングでタイが前年の11位から7位に上昇したため、動向を注視されているという。将来的な遡及調査や追加関税の賦課を避けるためにも、信頼性の確保が不可欠だとしている。米国がこれまでに発動してきた反ダンピング措置の累計件数は、国別で中国が707件で最多。以下、韓国、インド、台湾と続き、タイは73件に上る。
関税局のパントーン・ローイクンナン局長も、反ダンピング関税の回避や関税優遇を狙った原産地偽装が疑われる製品について、DFTと共同で検査を進めていると説明。市場価格を下回る輸入品は国内の生産基盤、投資、雇用に直接的な影響を及ぼすため、検査と取り締まりを強化しているという。
2025年10月から2026年2月までの間に、反ダンピング関税の回避を試みた製品1億1000万バーツ相当、原産地を偽装した製品3億9300万バーツ相当が押収され、計5億バーツ(25億円相当)を超えた。反ダンピング関連の摘発額は前年同期比で61%増、原産地偽装に関する摘発額は142%増と大幅に伸びている。
具体的な事例として、バンコク港の税関では中国から輸入されたにもかかわらず「タイ製」と表示された商品が押収されている。枕カバー、浮き輪用カバー、子ども用浮き輪など計5万824点で、経済的被害額は1120万バーツと見積もられている。このほか、爪切りや鏡付きケース8万5320点も押収され、被害額は494万バーツに上った。
原産地の虚偽表示は、消費者に誤解を与える行為であり、1938年の原産地虚偽表示輸入禁止法、1991年の商標法、2017年の関税法に違反する。関税局は今後も取り締まりを継続し、国内企業の保護と公正な競争環境の確保、国際的な信頼の維持を図る方針だ。
ほか、輸出時の原産地虚偽申告に対する罰則の見直しも進めているという。現行制度では軽微な罰金にとどまっているが、新たな規定では偽装が確認された製品の没収を可能にする考えだとしている。

























