【タイほか】株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区)の研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所は、東南アジア5カ国における従業員エンゲージメントの調査結果をまとめ、2025年時点のデータ分析として公表した。対象はシンガポール、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの現地組織で、日本企業の進出が進む地域における従業員の意識や課題を把握することを目的とした。
調査を行った背景には、アセアン諸国を中心とする東南アジアの経済成長と、それに伴う日本企業の海外展開の拡大がある。一方、各国の労働市場は成熟が進み、従業員の働き方や価値観が変化。従来の人材マネジメント手法が必ずしも通用しない中、現地従業員が何を重視し、どこに不満や課題を感じているのかを把握する必要が高まっていることが、調査実施のきっかけとなった。
調査は、2025年1月から12月にかけて、リンクアンドモチベーショングループが提供する従業員エンゲージメントサーベイを実施した企業の現地組織を対象に行われた。業務内容、職場環境、上司との関係、組織の方向性など16の領域について、従業員がどの程度重視しているかを示す「期待度」と、現状への「満足度」を測定し、その差分を国別、階層別、年代別に分析した。
分析の結果、5カ国に共通して日常業務の進めやすさや職場内の人間関係、組織としての一体感といった、日々の働きやすさに関わる要素が、従業員エンゲージメントの基盤となっていることが分かった。重視されるポイントや期待と満足の差には国ごとの特徴が見られた。
シンガポールでは、業務遂行やマネジメントなど、意思決定に直結する領域への期待が高かった。ベトナムとインドネシアでは、事業内容や会社の基盤、組織風土といった、組織全体に関わる要素への関心が相対的に高い傾向が確認された。
フィリピンとタイはいずれも、社内の連携や上司からの支援、職場環境といった身近な要素を重視する点で共通。フィリピンでは仕事内容や行動面への期待が強く、タイでは安定して働ける職場基盤をより重視する傾向が見られた。
階層別に見ると、ベトナムやインドネシアでは、管理職が事業戦略や変革といった全社的な視点を、一般社員は待遇や職場環境など個人に近い視点をそれぞれ重視し、意識の差が比較的大きかった。これに対しフィリピンやシンガポールでは、管理職と一般社員の間で意識の差は比較的小さい傾向にあった。
年代別では、5カ国共通して若年層ほど日常業務や職場環境への関心が高く、30代以降になると関心の対象が変化する傾向が見られた。シンガポールでは、年齢が上がるにつれて待遇面から実務や支援体制へと関心が移る傾向があった。フィリピンとベトナムでは、30代前後で仕事のやりがいや事業の将来性への関心が高まり、比較的早い段階で視点が広がる傾向が確認された。タイとインドネシアでは、年代による意識の変化は緩やかで、安定志向が継続する傾向が見られた。
研究所は今回の分析を通じ、海外拠点のマネジメントにおいては、日本的な暗黙の理解に頼るのではなく、施策の背景や目的を明確に説明し、各国の価値観に合わせて伝えることの重要性が示されたとしている。























