タイ国営クルンタイ銀行、地政学リスクに備え金投資拡大を提言

【タイ】タイ首相府が1月21日に公式ホームページで発表したところによると、タイ国営クルンタイ銀行(KTB)の投資戦略部門(CIO)が、米国と日本の政策を巡る不透明感の中で世界の金融市場は「方向感が定まっていない」と分析している。市場では業種間で資金が移動する動きが続いているが、足元の調整は健全な範囲にとどまっているとも評価。地政学リスクなどに備えて「金をリスクヘッジ資産として組み入れる分散投資が重要」だと提言した。

 米国では、株式市場で業種間の資金移動が目立った。生活必需品関連株は、米小売大手ウォルマートがナスダック100指数に採用されるとの報道を受けて上昇。一方、金融株は業績が堅調だったものの、トランプ米大統領がクレジットカード金利を10%に抑制する考えを示したことが重荷となって下落した。

 債券市場では、米10年国債利回りが約6ベーシスポイント上昇した。コア消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回ったが、労働市場が大きく減速していないことや、米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め姿勢を維持していることが意識され、利下げ観測は後退した。

 日本では株式市場が上昇。高市早苗首相が衆議院解散に言及したことを受け、政治情勢を巡る見方が市場に影響した。政策運営の先行きに対する不透明感が残る中でも、株価は堅調に推移している。

 こうした米国と日本の動きを受け、タイ市場でも海外要因の影響が意識されている。債券市場では、タイ国債利回りが海外金利の動向や国内国債入札を巡る需給への懸念を背景に変動。商品市場では、中東情勢の緊張を背景に原油価格が上昇したほか、イラン情勢やグリーンランドを巡る地政学リスク、FRBの独立性を巡る懸念から金価格も上昇した。

 クルンタイ銀行は、最近の市場の変動は経済構造の変化によるものではなく、政策の不確実性が主因だと指摘。米国と日本はいずれも短期的な景気刺激策を進めているが、一方で中長期的な財政や安定性への懸念が高まり、投資家がより高いリスク補償を求める状況にあるとみている。

 足元の調整は健全な範囲にとどまっており、成長株と安定株を組み合わせた「バーベル型」の投資に、金を組み合わせる戦略が有効だと結論づけた。

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