タイの日本食店数、調査開始以来初の減少 ジェトロ調査

【タイ】日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所が1月20日に発表した調査によると、2025年時点のタイ国内の日本食レストラン数は5781店となり、前年から約2.3%減少した。2007年に調査を開始して以来、店舗数が前年を下回るのは初めてとなる。

 タイの日本食レストランは、2007年の745店から長年にわたり増加を続け、2024年には5900店を超える規模に拡大してきた。今回の調査では、バンコク、首都圏、地方都市のすべてで減少が確認され、特に首都圏での落ち込みが目立った。バンコクは依然として約2,600店と最大の集積地だが、近年は全国ほぼすべての県に日本食店が行き渡り、新規出店の余地が限られてきたことが背景にあるとみられる。

 業態別では、すし、居酒屋、焼き肉など多くの分野で店舗数が減少した。一方、ラーメン店と日本式カフェは増加傾向を示した。抹茶や和菓子を取り入れた日本式カフェは、若年層を中心に支持を集めており、ラーメンも比較的手頃な価格帯から堅調に推移している。

 需要面では、日本人駐在員の減少が影響している。外務省の統計によると、タイの在留邦人数は約7万人と世界でも上位に位置するものの、ピーク時からは減少傾向にある。ジェトロは、主要顧客層の縮小が消費の伸び悩みにつながっていると分析している。

 また、タイ経済の停滞や外食市場全体の成熟も、日本食市場の成長鈍化に拍車をかけている。原材料費や人件費、家賃の上昇を背景に、経営体力のある大手チェーンが生き残る一方、単店舗や小規模店の撤退が相次ぎ、市場の二極化が進んでいる。客単価は101~500バーツが中心で、特に250バーツ以下の価格帯が厚く、消費者の節約志向がうかがえる。

 円安の影響で日本への渡航が身近になったことも、消費行動に変化をもたらしている。タイ国内で高額な日本食を楽しむより、日本旅行中に本場の味を体験する動きが広がっているという。

 ジェトロは、タイの日本食市場はすでに成熟期に入ったと指摘。今後は「日本食」であること自体が差別化要因とはならず、専門性や食材の質、体験価値などが、店舗の持続的な成長を左右するとしている。

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