【タイ】タイ政府は2026年の飼料用トウモロコシ輸入枠について、従来の5万4700トン(関税20%)から100万トン(関税ゼロ)へ大幅に拡大することを閣議で承認した。これを受け、国家経済社会開発委員会(NESDC)は、輸入トウモロコシの追跡制度を早急に整備するよう政府に求めた。
今回の輸入枠拡大は、米国との通商交渉に基づくもので、前政権下で合意された内容が2026年2月1日に発効する。NESDCは農業協同組合省や商務省など関係機関に対し、輸入トウモロコシの流通経路を把握できる仕組みを速やかに策定するよう勧告した。閣議承認され次第、政府は追跡制度と関連手続きを明確に定める必要があるとしている。
追跡制度の導入により、焼き畑による生産を経た飼料用トウモロコシの輸入禁止措置を適切に実施でき、微小粒子状物質(PM2.5)の削減にもつながる。また、遺伝子組み換え(GMO)トウモロコシに関する規制を厳格に適用し、家畜や畜産物の消費者の安全を確保することが可能になる。こうした対応を怠れば、タイ国内でGMO飼料を使用した畜産物が、EUや日本などGMO飼料を認めない市場で輸入規制に直面する恐れがあると警告した。
NESDCはさらに、国内の飼料原料の生産能力と効率を高めるための支援策や、代替飼料の利用促進を検討すべきだと提言した。輸入依存を減らし、食料供給網全体の長期的な安全保障を強化すべきだとしている。




















