タイの航空関連料金引き上げ、観光回復に影響必至 IATAが警告

【タイ】国際航空運送協会(IATA)のシェルドン・ヒーIATAアジア太平洋地域副会長がタイのメディアに語ったところによると、タイの空港使用料や外国人入国料など航空関連料金の引き上げが、収益率の低い航空会社に打撃を与え、観光需要の回復を妨げる恐れがある。「観光回復には量と収益のバランスが必要」と警告した。

 タイでは今年に入ってから、外国人から1人当たり300バーツを徴収する「外国人入国料」や、空港公社(AOT)によるタイ主要6空港の旅客施設使用料(PSC)の100バーツ引き上げなどが検討され、一部は実施に向けて動いている。ほか、タイ航空無線会社(エアロタイ)による「航空路使用料」の増額や、入国管理局による「時間外審査料」の引き上げも検討されているという。

 シェルドン・ヒー副会長は、「観光需要が弱含む中での追加負担は、訪タイ客のコスト増につながる」と指摘。航空会社の利益率は今年、アジア太平洋地域で1.9%、1人当たり2.6ドルにとどまる見通しだとし、タイだけを見ても外国人入国者数が前年割れしており、プラス要素を見いだすのは難しいとみている。

 こうした追加費用は旅客に転嫁されるか、航空会社の運営コストとして吸収される可能性があり、持続的な事業拡大を難しくするという。タイは従来、低価格から高級までの各志向の旅行者・観光客を幅広く受け入れてきたが、最近はより富裕層にシフトしている。シェルドン・ヒー副会長は、観光回復には「量と収益のバランスが必要」と警告している。

 IATAは、業界への過度な負担を避けるため、関係機関と航空会社の緊密な調整を求めている。タイ民間航空庁(CAAT)が航空機の供給不足を背景に、機齢制限の撤廃を検討していることについては、「適切に整備され国際基準を満たしていれば安全上の問題はない」と述べた。

 タイ政府は一方で、国際便の増加を促すため、AOT運営の6空港での着陸料や駐機料の引き下げを要請している。タイ政府観光庁(TAT)によれば、今年第4四半期にはアジア、中東、欧州、米国から新たに80路線が就航予定で、マカオを含む中国からは731便のチャーター便が運航される見通しだという。

スワンナプーム空港 写真:newsclip

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