タイ中銀、政策金利を1.5%に据え置き 大方の利下げ予想に反し

【タイ】タイ中央銀行(BOT)は10月8日の金融政策委員会(MPC)会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を1.5%に据え置くことを5対2で決めた。市場では追加利下げを予想する声が多かったが、バーツ高やマイナス圧力の続く物価動向、米国の関税措置など景気の逆風がある中で、政策余地を温存する判断となった。

 MPCは昨年10月以降、今年2月、4月、8月と計4回にわたり合計1.0%の利下げを実施してきた。今回は、「限られた政策余地を踏まえ、金融政策の発動時期と効果を重視し、今回は据え置きを選択した」と説明した。

 BOTは、今年の実質GDP成長率を2.2%、2026年を1.6%と見込み、従来予測の2.3%、1.7%から下方修正した。2024年の成長率は2.5%だった。

 物価見通しは、今年の消費者物価上昇率をゼロ%、来年をマイナス0.5%と予測。2027年以降に目標レンジ(1~3%)に戻る見込みだという。9月の消費者物価は前年比0.7%下落し、6カ月連続のマイナスとなっている。こうした状況から、市場では追加利下げ観測が強まっていた。

 今回は、9月に就任したウィタイ・ラッタナーコーン新総裁の下での初会合となった。前任者と比較して金融緩和に前向きとみられており、市場の注目を集めていた。

ウィタイ・ラッタナーコーン新総裁

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