【タイ】4カ月後の解散を掲げるアヌティン・チャーンウィーラクーン新首相は、次期選挙での勝利と首相再任を目指し、即効性の高い政策を実施することで国民の支持を得る「クイックウィン」戦略を打ち出した。「1人半分」や「鉄道運賃値下げ」などを挙げている。
「1人半分」(コン・ラ・クルン)はもともと、プラユット政権がコロナ禍の家計支援策として発案。国民の飲食や買い物を対象に、政府が出費の半分を負担したところ好評を博し、先のペートーンターン政権でも旅行費用を対象とした「半額負担」キャンペーンが実施された。
アヌティン首相が就任直後、国民に向け「どんな政策を望みますか? 1人半分ですか?」と呼びかけたところ好反応を得たため、実現に向け検討を開始した。新たな「1人半分」では、個人所得税の申告者約1100万人を対象に購入額の60%を政府が補助し、自己負担を40%とする。申告義務のない層には従来どおり折半で対応する。1日当たりの適用上限は150バーツから200バーツに引き上げられる見込みだ。
鉄道運賃の値下げは当初、前政権の「20バーツ上限」制度を踏襲する見通しだったが、財政負担が年間80億~90億バーツにのぼるため、連絡乗車券制度を定めた「ジョイントチケット法」を活用し、乗り継ぎ時の初乗り運賃15~17バーツを免除または引き下げとする代替案が浮上している。これにより利用者は35~40バーツを節約できるという。外国人は対象外の可能性がある。
ただ一方で、20バーツ上限制度の関連法案が上下院で審議中もしくは一部通過との報道もあり、最終的にどの方式が採用されるかは不透明。