【タイ】タイ免税店最大手キングパワーは今年9月、市中店舗3店を閉店する。新たな事業形態を模索し、2年以内の再編を目指す。
閉店するのは、バンコク都心部マハーナコーンタワー内のマハーナコーン店、スワンナプーム空港近くのシーワリー店、東部パッタヤー(パタヤ)市内のパタヤ店。同3店舗は、最盛期には1日当たり数万人の客を集めていたが、最近は同数百人にまで激減しているという。市中店舗はほか、都内ラーンナーム通りのラーンナーム店、2024年10月に開業したばかりの複合施設ワンバンコク内のシティ・ブティック店、南部プーケット島のプーケット店があり、これらは継続可能と判断した。
キングパワーは、タイを訪れる中国人「観光客」の激減が赤字転落の主因と説明。これまでの客層は、中国人観光客が70%、タイ人10~15%、そのほか、だったという。仮に中国人がタイに戻ってきたとしても、旅行形態はもはや「観光」ではなく、ネット検索で行きたい場所を探して個人で訪れる「(個人)旅行」に変化。中国人も観光客ではなく旅行者に様変わりしており、「免税店というビジネスがかつての栄華を取り戻すことはない」とみている。
「最も出血量が多い」空港内の店舗に関しても、タイ空港公社(AOT)との契約の解除を目指しており、今年第4四半期には結論が出る見込み。AOTが契約解除に応じた場合、速やかに撤退する。同時に、AOTが継続可能な案を提示してきた場合も、速やかに検討に入るとしている。
空港店舗は現在、スワンナプーム、ドーンムアン、プーケット、チェンマイ、ハジャイの5空港で営業している。同5空港には以前、入国時に利用できる免税店が存在したが、2024年7月にタイ政府が閣議で閉店を承認、同月末を持って営業を終了した。
肝心の新たな事業形態は現在のところ未定で、決定には4、5カ月はかかるとしている。免税店経営を維持しながらのファミリー向けテーマパーク、ウェルネスセンター、レストランの運営などが、一案として挙がっているもよう。