【タイ】タイの一部メディアが「タイ開発研究所(TDRI)」のエコノミストの話として伝えるところによると、カンボジア国境を巡るペートーンターン・チナワット首相の発言問題が最小限の影響で収まったとしても、タイの経済成長率は1.5%にとどまる見通しだ。タイの政情不安よりも米関税の影響がより大きいとしている。
1.5%は、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が5月中旬に発表した、従来の2.8%から大幅に下げた1.8%よりもさらに低い見通し。カンボジアの国境問題やイスラエル・イラン軍事衝突の影響はほとんどないと判断、米関税のみを考慮しているという。
ペートーンターン首相の発言を巡るタイ政治の今後の動向は、
・プームジャイタイ党の離脱で議席を減らしまま内閣改造
・ペートーンターン首相の辞任とそれに伴う新たな首相の任命
・解散総選挙
・非民主的手段
の4つのシナリオが考えられるという。
TDRIのエコノミストは、「このうちどれが実現するかは未知」としつつ、最初の3シナリオは経済成長率に影響をほとんど与えないとみている。最後のシナリオはクーデターを意味し、「実際に起きた場合、抗議活動や暴動を引き起こす危険があり、米国との貿易交渉にも悪影響を与える」とした。
ただ、米国との交渉でタイが競合国よりも低い税率を引き出せなかったり、供給過多に見舞われる中国の弱体化のリスクが高まったりした場合は、見通しはさらに下回るとされ、TDRIのエコノミストは「我々が実際に期待できる最良の数値が1.5%」と述べている。