【タイ】タイ政府観光庁(TAT)のターパニー・キアットパイブーン総裁がタイのメディアに語ったところによると、イスラエルとイランの軍事衝突が既にタイの観光業に影響を及ぼしている。中東諸国から南部プーケットへの外国人入国者数が、わずかながらも減り始めているという。
中東の一部空域が閉鎖され、エミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空、フライドバイ、エア・アラビア、オマーン航空、サラームエアといった、タイへの空路を持つ航空会社の運航に支障をきたしている。イラン線はすでに運休している。
戦闘が長引いた場合、6月のイラン、イラク、ヨルダン、レバノン、シリアの5カ国からの入国者数が前年同月比で30~50%減の3500~5000人程度まで落ち込むことが予想される。月当たり200万人超という全入国者数からすればわずかな落ち込みだが、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、クウェート、カタール、バーレーンといった国にも影響が及ぶ危険があり、ターパニー総裁は「楽観視できない」と述べている。
タイ政府は今年を「観光年」に指定し、外国人入国数4000万人を目標値に設定したが、年初からの国際犯罪拠点の問題や3月に発生した地震の影響で入国者数が伸び悩み、現在のところ前年同期比割れとなっている。中東の政情不安で入国者数がさらに減ればタイの観光業は「泣きっ面に蜂」で、ターゲットをシフトするなどの対策もなく成り行きを見守るしかない状況だ。
一方、緊張が早急に緩和されれば、同地域からの入国者数は7月には回復すると期待されている。ロイヤル・ヨルダン航空は予定どおりであれば、週2便のアンマン・バンコク線を開設し、8月に就航する。
TATは、今年の中東諸国からの入国者数を前年比11%増の106万人、観光収益860億バーツを目標値としている。