【タイ】ピチャイ・ジュンハワーチラ副首相兼財務相による「付加価値税(VAT)率の引き上げの可能性を探っている」との発言について、ペートーンターン首相は「国民の生活に負担がかかることは理解している」とコメントした。一方で、法人税率の引き下げも取り沙汰されており、同副首相が近日中に詳細を明らかにするとしている。
ピチャイ副首相のVATや法人税に関する発言は、12月3、4日の商業施設サイアム・パラゴンでの「サステナビリティ・フォーラム 2025」の開催を受けたもの。同フォーラムでは参加者から、「VATは世界的に15~25%の範囲」「経済協力開発機構(OECD)のガイドラインでは法人税15%」といった主旨の報告があり、今回の「可能性を探る」という表現になった。財務省は「検討中」と回答し、タイの各メディアは「VATが15%に?」と煽り気味に報道している。
タイのVATは1991年に歳入法で10%と定められたものの、1997年の通貨危機による景気低迷を受けて7%に引き下げる暫定処置が取られ、25年以上据え置きとなっている。今年は2024年10月1日に勅令によって再び延長され、2025年9月30日まで7%が続く。内訳は国税6.3%+地方税0.7%。
一方、法人税は原則20%。ピチャイ副首相はVAT同様に法人税も国際的な基準に合わせるべきとし、現在の20%からの引き下げも示唆した。
VAT引き上げ発言に関して、多くの政治家から否定的な意見が挙がっている。一方、財務省のラワロン・セーンサニット事務次官は、経済回復の見極めと政治的な強い意志を必要とし、「タイミングが重要」とコメントした。