「Echoed Tranquility ~芸術を通じた平和の希求と静かな共鳴~」ジム・トンプソン・アート・センターにて12月20日まで

「Echoed Tranquility ~芸術を通じた平和の希求と静かな共鳴~」ジム・トンプソン・アート・センターにて12月20日まで

右からフアディ・ピッスワン氏、田中稔子氏、プラチャヤ・ピントン氏

 

 公益財団法人笹川平和財団による「Echoed Tranquility ~芸術を通じた平和の希求と静かな共鳴~」が12月6日から、バンコク都内の「ジム・トンプソン・アート・センター」で開かれている。東南アジア諸国連合(ASEAN)全域を視野に平和と安定のための活動を展開するスリン・ピッスワン財団(バンコク、理事長・フアディ・ピッスワン)との共催で、東南アジア地域のアートコレクションを中心に展示するジム・トンプソン・アート・センターおよび広島平和記念資料館の協力と、在タイ日本国大使館の後援を受けたイベント。日本外務省および「日本ASEAN友好協力50周年」連絡協議会事務局による「日本ASEAN友好協力50周年記念事業」として認定されている。

 12月7日には対話イベント「Small Art Exhibition & Peace Talks ~Echoed Tranquility~」が催され、関係者が一同に集合。広島の被爆者であり七宝壁画作家の田中稔子氏が自らの被爆体験と後遺症、人生を歩んでいく中での反戦への思い、平和を追求するための作家としての表現などについて語った。田中氏の作品は「抽象的でありながら力強さを感じる」といった感想が、イベントに参加した日本人から聞かれた。

 対話イベントは、タイ人造形作家のプラチャヤ・ピントン氏を交えて続いた。軍需品の鉛や錫を再利用して幻肢痛の治療に用いる鏡を表現し、隣国ラオスでの不発弾除去や爆弾の破片物などから採取される金属を日用品に作り変えたりする活動を続けていく上での思いをプラチャヤ氏が語った。インドシナ戦争~ベトナム戦争でベトナム同様ラオスもまた激しい戦争が続いた国であり、田中氏が「日本ではラオスの惨状をベトナムほど知る人は少ない。もっと知るべき」と受ける場面も見られた。

 イベント関係者は、「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やパレスチナ問題の激化、アフガニスタンやミャンマー、スーダンの政変など、戦争や紛争が頻発している今の世界情勢の中で、ほんのささやかながら原爆の直接的被害者である田中さんをタイに招き、多くの方にご出席いただいてこのようなイベントを開催できたことを嬉しく思っております」と語った。

 会場には、田中氏やプラチャヤ氏ほか、ベトナム系アメリカ人の写真家・ビデオアーティストのディン・キュー・レ(Dinh Q. Lê)氏の作品も展示されている。作品展は12月20日まで続く。

12月7日の対話イベント

フアチャイ・ピッスワン氏

笹川平和財団常務理事の安達一氏

 

 

 

 

作品ガイドツアーでの田中稔子氏

作品ガイドツアーでのフアチャイ・ピッスワン氏

作品ガイドツアー

 

 

 

 

 

 

作家プロフィール
田中稔子(TANAKA Toshiko)

 1938年広島市生まれ。七宝壁画作家。1946年8月6日、広島に投下された原子爆弾の被爆経験を持つ。七宝壁画という伝統的な日本の芸術技法に取り組み、独自の作品を制作。広島市長からローマ教皇ヨハネ・パウロ2世に贈られた作品を含む多くの作品を制作し、ピースボートに乗船して被爆体験証言を行うなど、被爆者としても国内外で積極的な活動を行う。2023年のG7広島サミットユースフォーラムでは、綾瀬はるか氏や高校生との対談も。

プラチャヤ・ピントン(Pratchaya Phinthong)

 1974年にウボン・ラーチャターニで生まれ、バンコクで活動する造形作家。ピントンのプロジェクトは、見るものがその隙間を埋めるように導かれる。異なる現実を隔てる空間と距離を強調しながら、その狭間のダイナミックな領域で作品を制作している。一連の作品『運命の器官』では、軍需品から鉛と錫を再鋳造し、多くの手足の切断者が経験する幻肢症候群の治療法に使われる鏡に似せている。

ディン・キュー・レ(Dinh Q. Lê)

 ベトナム系アメリカ人の写真家、ビデオアーティスト。1968年にカンボジアとの国境沿いの町に生まれ、1978年にクメール・ルージュの侵攻を逃れるために家族とともに渡米。大学ではコンピューター・サイエンスと写真を学ぶ。大学在学中に、アメリカ人にとってのベトナム戦争体験の物語の量に比して、ベトナム人の語りが欠落していることに気づき、「語られない物語」についての作品を制作し始める。2015年、森美術館で大規模個展を開催。

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