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- 〈タイ業界事情〉ERPシステムにおけるAI機能を使用した未来予測について(人工知能による販売予測のシミュレートはどの程度まで実現可能なのか?) BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
〈タイ業界事情〉ERPシステムにおけるAI機能を使用した未来予測について(人工知能による販売予測のシミュレートはどの程度まで実現可能なのか?) BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2019/1/7
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難波 孝次 氏 Managing Director
前回に引き続きAI(人工知能)による未来予測についてのお話をさせていただくのですが、今回はようやく本命である販売予測の具体例に迫ってみたいと思っております。それで販売予測についてなのですが、現時点でも得意先さんからの受注内示及び受注実績データを何らかの形でERPシステムに取り込んだ後、同データを元に販売予測データを作成されているといったケースはあるかと思います。ただ受注実績データでは長くとも1か月先くらいまでのデータしかなく、また内示データの方は半年先くらいまでのデータがあるにはあるのですが、そのデータをどこまで信頼できるのかと言いますと特にこのタイの国では内示と受注確定のデータにおいて振れ幅はかなり大きいという話はよく耳にいたします。
それでは全く使い物にならないのか? と言うとそんなことはなく、あくまでも販売予測のベースとしてではございますが、そのベースデータが有るか無いかの違いは大きく、そのデータをいかに加工してより正解に近づけていくのかというところがAIの腕の見せ所になるかと思います。
具体的な手法といたしましては、前回サイコロの出目予測の話で過去の実績を元に推測をおこなうという内容が出てきましたが、それと同様に例えばA社については今まで内示に対して実績が常に1.5倍から2倍の間で推移しており、B社は逆に半分程度の数字になるという情報があるとすれば、その過去実績より導き出された数字を使用して、内示データにその掛け数を加味してやりことにより販売予測の数字を算出するというやり方が考えられます。
上記の例はあくまでも予測をおこなう因子の一つでございまして、後は特定の月による振れ幅の違いであるとか、前回のサイコロのお話で言いますと床面の傾きやら気温や湿度といった様々な外的因子も考慮にいれる必要があるでしょうか。具体的には取扱製品がエアコンや扇風機といった暑さを防ぐものであれば、当然のことながら気温が上がれば上がるほど需要は膨らんでいきますので、長期的な天気予報もその因子の一つに加える必要もあるかと思います。また自動車関連であれば、内的なものとしては特定車種のモデルチェンジの時期などが挙げられまして、ただそういったものはある程度内示データとして反映されてくるのですが、外的要因としては例えば政府によるエコカー減税の実施タイミングや、燃料代金の変動予測(ただこれを予測すること自体が困難とも言えますが)、それから高速道路の開通予定プランや公共交通機関の整備プランなども因子の一つとして考える必要がありますでしょうか。
あと上記以外の因子としましては、地震や洪水といった天災、それからリーマンショックのような国際的な金融危機の発生や、タイ国内ですと通貨危機や反政府デモにより経済活動が抑制されたりといったそういった内容が考えられます。当然のことながらこれらの事象をあらかじめ予測してシステムに入力することは不可能でございますが、ただ事象が発生したタイミングでそれらをデータとして取り込むことにより、今後の予測に修正を加えるということは可能になるかと思われます。
そういった販売予測を取り巻く因子については、一つ一つ挙げていけば際限が無く、それらの因子がそれぞれ果たしてどのように販売に結び付くのかよく分からないようなものや、また中には本当にこの事象が我が社の販売データを予測するのに必要になるのだろうかと首を傾げるような内容も出てくることもあるのですが、実はAIによる予測作業においては、条件となる因子は多ければ多いほどより正確な予測がおこなえるという性質を持っております。
具体的な例を挙げますと、昨年1月の受注内示が1,000万バーツであったのに対して、ふたを開けてみると800万バーツまでしか販売が伸びなかった場合、AIの処理としては該当月に起こった様々な事象を一つずつ検討していく作業に入ります。例えば気温が例年より低かったという条件があったとして、その条件を更に過去の実績と比較しまして、今までのデータにおいて気温の高低が販売実績に関連付いているのかを判断します。それで仮に因子がこの一つだけであれば、恐らく気温が低くて売上が下がった月もあれば上がった月もあり、明確にこの因子が原因であるという結論を出すことは出来ないのではと思います。
そこで次に別の因子との組み合わせを見てみますと、例えば2か月前の気温が低くて例年より雨量が多く、また週末に休日が重なった連休が何度かあり、政策金利が引き上げられ、バーツ安になり、それから平均年齢が上がり出生率が下がり、インフルエンザが流行り、海外旅行へ出かける人数が増え、離職率が上がったという具合に、まあこれらの内容は今思いついたものをランダムに挙げてみただけではありますが、そういった様々な条件が重なり合った月には常に売り上げが下がっているという結果が導き出されたとしますと、今後同じような状況の発生が予測される月には、内示データより低めの数字を予想値として出力するというロジックが考えられます。
ただ実際にはそれらの因子の内、偶然そのような結果になっただけで、実は全く関連性のないものなども含まれている可能性もありまして、特に上記の内容ですと関連性のないものの方が多そうですが、そこの部分についてはチェック作業を長期間繰り返しおこなうことにより、要不要の振り分け作業をおこなう形になるかと思います。
上記の例はあくまでも一例でございまして、実際には膨大な玉石混交とも思える条件の山の中から必要なものと不要なものを選り分けて、前述のように一見あまり関連性の無いように思えるものでも、別の因子と組み合わされることにより関連性が出てくるものもありますので、あらゆる組み合わせを試しながら条件を特定していく作業となります。
というところで続きはまた次回とさせていただくのですが、今回はどちらかと言えば外的因子についてのお話となりましたので、あまりピンと来ないと思われる方も多かったのではと思いますが、次回はもう少し身近と言いますか社内における様々な条件を元にシミュレートをおこなう方法について、説明させていただきたく考えております。
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