- Home
- IT, 企業・業界, 業界事情(業界・企業・製品紹介)
- 〈タイ業界事情〉AI機能による業務分析はどの程度まで可能なのか? BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
〈タイ業界事情〉AI機能による業務分析はどの程度まで可能なのか? BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2022/6/7
- IT, 企業・業界, 業界事情(業界・企業・製品紹介)
難波 孝次 氏 Managing Director
AI機能による業務分析はどの程度まで可能なのか?
前回は会計システムのAI化ということで、AI機能を用いて社内会計処理のブラックボックス化を防止するといったお話をさせていただきましたが、今回は更に発展させて社内の業務分析作業をAIでやってしまおうという内容になります。とは言いましてもそういった社内の業務分析作業をコンサルティングの会社さんにお願いした場合、微に入り細を穿った形の報告書が作成されると思いますが、流石にそこまでの内容を現在のAI技術に要求するのは酷でありまして、では一体どの程度の作業であれば実現できるのかという内容をお話させていただければと考えております。
先ずはタイにおける日系企業さんにおいて、どういった観点で業務分析作業が必要になるのかと考えてみますと、1つには新しく赴任された日本人マネージャーさんが社内業務を理解する為といった理由が挙げられますでしょうか。基本的にはタイでも日本と同じような業務管理をそのまま踏襲されているかとは思いますが、それでも税制や法律の違いにより業務を現地に合わせざるを得ない事項は色々とありますでしょうし、また日本では生産部門に所属されていた人でも、タイでは会計や総務といった複数の部門を管理しないといけないケースもよくあり、あと言葉の問題や文化慣習の違いなど、ご赴任してすぐには理解できない内容も数多くあるのではないでしょうか。
それで、AIが業務分析作業をおこなうとは言いましても、コンサルティングロボットが製造現場までやってきて聞き取り調査をおこなうとかそういったことでは当然なく(将来的には実現するかも知れませんが)、あくまでもコンピューターシステムに蓄積されている業務データをコンピューター自身が分析していくという形となります。要は今まで業務管理システムに入力された生産、販売、購買及び会計管理等の各種データを機械的に分析することにより、社内の業務を可視化してしまうということでありまして、セキュリティチェックや不正防止にも役立つという面もあります。
では具体的に分析作業がどのようにおこなわれるのかを説明させていただきますと、先ずどういったデータを誰がどのタイミングで入力されているのかという点を明らかにすることから始まります。例を挙げますと、朝9時から11時までスタッフのAさんとBさんがINVOICEデータを入力され、11時から12時までマネージャーのCさんがINVOICEに対する承認をおこない、午後1時からスタッフのAさんとBさんが承認済みのINVOICEを発行されるといった形で、詳細な情報を取得していきます。後はそういった情報を画面上に色々な切り口で表示することが出来るようにしておき、例えばオペレーターさん毎のデータ入力状況ですとか、データ種類毎の進捗状況を確認することが可能となります。
それから、月の初めに受注内示データが入力され、月の20日頃に合計請求書が作成され、月末から月初にかけて入金・支払データが入力されるといった、月次処理のワークフローを可視化することも可能となります。
それで、これだけですと何だ大したことは出来ないんだなと思われるかもしれませんが、ここからが本番でございまして、こうして各種データの入力状況をピックアップしたものに対して、AI的な手法を用いてデータ解析をおこなっていくことにより、様々なチェック作業がおこなえるようになります。今まで何度かお話をさせていただいたようにAIが得意としている機能の一つに、大量データを比較して差異を求めるというものがございまして、具体的には1日前との比較から始まり、1週間前、1か月前それから1年前といった感じで、同じような状況が発生しやすいタイミングとの比較を行っていきます。その比較処理をおこなうことにより、どういう利点があるのかと言いますと、1つにはセキュリティのチェックをおこなうことが可能となります。例えば先月まではCさんのみがINVOICEの承認を行っていたのに対して、今月からはBさんもおこなうようになったという情報が判明した場合、これは単純にBさんにも承認権限が与えられたからというケースがほとんどでしょうが、実はシステムのセキュリティ情報の設定にミスがあり、本来であれば承認権限のないはずのBさんのIDに権限が与えられていたことが発覚するということもあるかと思います。あと、データ入力に掛かる時間比較をおこなうことにより、各オペレーターさんの作業負荷をチェックすることも可能となりまして、具体的には1年前にはAさんの入力作業は現在の2倍かかっておりBさんは逆に半分だったとしますと、もちろんデータ入力だけが仕事ではないので単純判断は出来ないのですが、AさんとBさんの仕事の分担範囲調整を決定する要素の一つにはなるのではないでしょうか。
次に不正防止の観点から購買データに対するデータ解析を考えてみたいと思います。AI機能による比較作業ということで、同じ材料や商品の購買単価の変化を過去に遡ってチェックした結果、あるタイミングから突然価格の上昇率が大幅にアップしているものがあったとします。もちろんそのタイミングで様々な要因により価格が上昇せざるを得ない状況であるケースもあるでしょうし、それまでの仕入先が無くなってしまったり、サポートや商品の品質、納期等に問題があって仕入先を変更したといったケースも考えられるかと思います。そこで更に関連する情報として、仕入先が変更されたかどうか、仕入担当のスタッフが変更されたかどうか、また他の品目に対する価格の変化率や発注時のリードタイムの変化なども見ていき、それらの様々な情報を総合的に判断して何か不自然な動きのある品目のみをピックアップしてアラームを出すといった流れとなりますでしょうか。後はその情報を元に人が判断をおこなうフェーズとなりまして、その際に判断材料としてAIがどのような条件でアラームを出したのかという過程を照会出来る機能も必要になるかと思います。その結果、不正云々ではなく単に仕入担当者がよく調べずに単価の高いところに発注をおこなっていたり、在庫予測管理が上手くできておらず、仕方なく航空便を頼んでいたといったケースも出て来るかとは思いますが、管理面としましてはそういった実情を浮かび上がらせるだけでも、かなりメリットがあるのではないでしょうか。
また販売データや入出金のデータ等についても上記の内容と同様に、過去のデータと現在のデータとを比較することにより何かイレギュラーな状態になっている箇所や不自然と思われる部分をピックアップすることにより、業務管理における問題点を明らかにすることが可能となります。
ということで今回はAI機能を使用してセキュリティチェックや不正防止を目的とした社内業務の分析作業についてお話をさせていただきましたが、次回は生産管理におけるAIによる社内業務の分析は可能なのか?といったお話をさせていただければと考えております。
BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com