〈タイ業界事情〉機械学習により成長していくERPシステムの可能性について BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

機械学習により成長していくERPシステムの可能性について

 今回のタイトルは何だか壮大な内容のようですが、要は今まで色々とERPシステムの各業務にAI要素を加えることによりどのように便利になるのかについて話をしてきまして、今回もその一端ということでAIの機械学習機能を活用することにより具体的にどの部分が使い易くなっていくのか、その可能性について考えてみたいと思います。

 ということで先ずはシンプルに使い勝手の向上ということで考えてみますと、通常よく使用する業務を起動し易くするという点が挙げられますでしょうか。具体的にはAさんは日々受注データのみを入力して、Bさんはインボイスデータのみを入力するといったケースでは、機械学習をおこなうことによりAさんのユーザーIDでシステムにログインすると受注入力が、BさんのユーザーIDではインボイス入力が自動的に起動するといった形にしておけば、複数あるメニュー画面をいちいち選択する作業は不要となります。あともう少し複雑なケースですとCさんは在庫データを参照してその内容を元に発注データを入力した後仕入伝票を入力し、午後になると会計伝票を入力するといったスケジュールだった場合、それらの各業務がCさんのユーザーIDでログオンされた際のフェイバリットメニューの中に順に表示されていれば、作業もスムーズにおこなえるのではと思います。

 更にこの内容を推し進めていきますと、例えばAさんは受注入力でも国内の得意先を担当して、Dさんは海外の得意先を担当するといった形であれば、ログオンされているユーザーIDにより、得意先の選択時における優先順位を調整することで入力作業の軽減化と入力ミスの防止を図ることが可能になります。また同じように得意先ごとの商品や仕入先ごとの商品といった形で、ユーザーID毎であらゆる選択内容に使用頻度による優先順位を付けることが出来るようになります。

 と、まあここまではウェブサイトの検索機能や漢字変換の学習機能と大差ないもので、AIだの機械学習だのという大袈裟な呼称の割には大したことは出来ないんだなと思われるかもしれませんので、もう少し踏み込んだ利用方法を考えてみます。そもそもこういった使用頻度により選択肢の優先順位を調整するといった機能は、確かに使っていくうちに徐々に賢くなっていうという特性からAIの代表的な利用方法のように思われがちですが、実はAIとは言ってもかなり広義な意味でのAIであります。どういう事かと言いますと、処理機能としては直近で選択されたものや頻繁に選択されたものに対する重みを付けていくという比較的シンプルなもので、そのように組まれたプログラムに沿って処理を行っているだけに過ぎず、堂々と人工“知能“を装備していると公言するには少々憚られるような内容かも知れません。

 それではどういった機能であれば人工知能と呼ぶのにふさわしいのかと言いますと、知能と聞いて先ず思い出すのが子どもの頃に受けた知能テストのことではないでしょうか。テストの内容としては様々なパターンがあるかと思いますが、最も標準的なものとしては現在の状況から次に来る状況を予想するもので、例えば1,3,5,7と数字が並んでいた場合次の数字は何かといったものや、同じように三角形、四角形、五角形が順に表示されてその次の記号を当てさせるといったものになりますでしょうか。それでその知能テストではどういった能力が要求されるのかと言いますと、それまでに羅列された情報を元に何故その並びになっているのかという規則性を探しだして、その規則性を元に次に続く答えを予想する能力となります。ということで人工知能と名乗るには同じように与えられたデータ群の中からこの規則性を自らの力で探し出して、その規則性を利用してより効率よく作業をすることが可能な処理機能ということになりますでしょうか。

 例を挙げて説明しますと、以前にEDIシステムにAI機能を加えることにより取引先から送られてくるデータが如何なるフォーマットであってもその内容をAIが解析して自動的に自社のシステムに合致した形に変換してアップロードをおこなうANY_EDI_SYSTEMを紹介させていただきましたが、この処理でも実は規則性を見つけ出すという手法が用いられております。具体的には日付項目を探し出す場合、日本式ですと“2023/09/01“のように5桁目と8桁目に何らかの記号が来てその間に年月日の数値が挟まれているというフォーマットがよく使用されますが(月と日が一桁の場合や記号が無いケースも中にはありますが)、タイの場合ですと“01/09/2023“のようなフォーマットが一般的であります。このケースでも同じように途中に挟まれている記号を探し出すことにより該当項目には日付項目が格納されているという判断は比較的簡単におこなえるのですが、ではこの値が果たして英国式の2023年9月1日を意味しているのか北米式の2023年1月9日を表しているのかについては、この情報だけでは判断が行えないという問題が発生します。

 そこでこの問題を解決する為には複数行に渡って同じ項目を読み込む必要がありまして、そしてその項目の中に“13/09/2023“といった形で最初の2桁に12を超える値が見つかれば英国式の日・月・年、“01/13/2023“のように真ん中の数値に12を超える値が見つかれば北米式の月・日・年であるという風に一手間かけて格納フォーマットを決定する必要があります。それでここからが本題なのですが、例えばこれが受注データであればその中に受注日付や指定納期といった日付項目は最低でも二つ以上含まれておりまして、何れか一つの日付項目のフォーマットが前述の処理により確定すれば同じ取引先から送られてきたデータであれば当然他の日付項目も同様であるとプログラム側で判断をおこなうことにより、再度時間をかけて検索処理をおこなわないようにして、処理速度の向上を図っております。

 この日付項目判別処理は分かり易い例の一つで、他にも大なり小なり同じような判断をおこなっておりまして、例えば同じ取引先からの受注データで今月から項目の並びが変わった場合では、先ずは今までのフォーマット規則を優先させ、途中に新しい項目が挿入されていないかをチェックする等の処理速度の向上を図る為の仕組みが色々と組み込まれております。ということで今回の内容はAIの特性の一つである規則性を見つけ出すという手法を説明させていただきましたが、次回は更に推し進めてAIが得意とする予測制御がどのようにおこなわれるかについて説明させていただければと考えております。

機械学習が組み込まれたERPシステム

AI機能付きEDIシステム(ステップ1)

AI機能付きEDIシステム(ステップ2)

AI機能付きEDIシステム(ステップ3)

AI機能付きEDIシステム(ステップ4)

 

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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