〈タイ業界事情〉膨張を続ける社内エクセルシステムの問題について BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

膨張を続ける社内エクセルシステムの問題について

 今回はタイトルにありますようにエクセルで業務管理システムを構築されているケースを取り上げようと考えております。通常ERPシステムと言いますと強固なセキュリティを備えたデータベースアプリをベースとして専門的なプログラムで開発されたものを想像されるかと思いまして、確かに市販のERPシステムのほとんどはそういった形で、弊社で取り扱っておりますものもその例に漏れないのですが、ではそこにエクセルの出番はないのかと言われますとそうでもありません。

 具体的な例としまして、基幹的な部分は前述のような本格的なERPシステムを使用されているものの、同システムではカバーしきれない会社独自の管理をおこなう為にエクセルを使用されているケースは結構あるのではと思います。例を挙げますとセールスマンごとに各月の販売金額を元にコミッション金額を算出するシステムですとか、生産計画を立案するシステムですとか、製品個別に製造原価を算出するシステムとかになりますでしょうか。ただこの中の生産計画や製造原価算出については通常ERPシステムにも含まれているのではないかと思われるかも知れませんが、この二つのシステムはその機能上ご使用になられる会社さんにおいて独自の仕様を組み込む必要がありますことから、中々システム標準のままでご使用になられるのが難しいシステムの代表となります。この為市販のシステムを使用されず社内で独自のエクセルシステムを組まれているというお話はよく耳にいたします。

 それでエクセルシステムのメリットとしましては、先ずは小回りが利くことになりますでしょうか。例えば市販のERPシステムに装備されております生産計画立案システムを稼働させようとしますと、各生産工程に関連付けられている制作機械情報を一日の稼働時間や年間の稼働日ですとか、生産をおこなう全製品の情報や生産時の機械特性や生産能力に至るまで微に入り細に渡って情報を登録してやる必要がありますことから、システム稼働までにクリアしないといけないハードルはかなり高いものとなります。これに対してエクセルで独自のシステムを作りこむ形ですと、社内の生産事情に精通されている方が自社の生産に合った形での仕組みで必要情報のみを組み込むことが出来ますので、システムの立ち上げは比較的スムーズにおこなえるかと思います。

 また問題発生時やイレギュラーなケースへの対応にしましても、本格的なERPシステムですと様々な影響を考慮する必要がありまして、また仕様決定までに時間をかけて詳細な聞き込み調査をおこなう必要がありますことから、かなり大掛かりな変更工数を覚悟しないといけませんし、極端な例ですとカスタマイズは不可能であると業者さんに断られるケースも出てきます。それに対してエクセルシステムでは他のシステムモジュールとリンクする必要性があまりないことと(全くない訳ではないのですが)、社内で業務内容をよくご存じな方が直接開発に携わるケースも多いかと思いまして、短時間で対応することが可能になるのではないでしょうか。

 それではエクセルシステムにデメリットは無いのかと言いますとそういう訳でも無く、少し考えただけでも色々な欠点を挙げることが出来ます。一つにはセキュリティ面でエクセルファイルがたった一人のPCにしか格納されていないとしますと、当然のことながらそのPCが何らかの障害で使用不能になってしまうと今までのデータも含めて雲散霧消という事態になってしまいます。ただこの問題は小まめにバックアップを実行すれば防止できる問題でありまして、あとデメリットとして考えられる内容として、ここでようやく表題に行きつく訳ですが、エクセルですと本格的なデータベースとは違いデータを格納する領域に制限がある為、拡張性に難があるという点になりますでしょうか。

 具体的には複数階層に分かれるデータを管理しようとしますと、エクセルの場合アクロバティックな手法を採らざるを得なくなくなってしまいます。例を挙げますとセールスマンのコミッション算出のシステムをエクセルで開発するとなりますと、先ず縦軸にセールスマン、横軸に得意先を並べてひと月の販売金額を当てはめていき、ぞれぞれをコミッション率で掛けてコミッション金額を算出するという風にひと月で1枚のエクセルシートを使用する形で、これが毎月のデータということになりますと、月毎に新しいシートを追加していくこととなります。更に年が変わるといつまでもシートを増やしていくというのも、管理上分かり難いということとファイル容量が大きくなりすぎるということでファイル名に年を付けて別ファイルとして管理をおこなう形とします。それに加えまして予定のデータも加えて予実管理をおこないたいとなりますと、今度は別フォルダーの中に予定データを格納した年ごとのエクセルファイルを格納して、この状態で予実対比のグラフを出す為には、各フォルダー内にある年ごとのファイルの中から該当の月シートを参照して行ってという形で、格納データが増えていくたびに何が何だか良く分からないといった状況となってしまいます。

 あと、似たようなことなのですが、例えば個別原価の算出システムをエクセルで作成した場合、会計システムから該当月の経費金額を引っ張ってきて、在庫管理システムから月の入出庫数と購買管理システムから外注費用、それから生産管理システムから各機械毎の生産時間や個数等、様々な場所から様々な種類のデータを参照する必要があります。それでそれぞれのシステムからダウンロードしてきたデータを参照しやすいように同じファイルにまとめた場合、一つ一つのデータボリューム自体が大きなものとなり、更にBOMマスターを参照しながら半製品単位の個別原価を算出していくとなりますとその関連付けの為のデータを別に用意してといった形で、ひと月のデータだけでもかなり巨大なエクセルファイルとなってしまうことがあります。この為PCのメモリ容量によってはエクセルが固まってしまって動かなくなってしまったというお話はよく耳にいたします。

 それからこれが一番リスクが大きいのではと思われることがシステムの属人性ということではないでしょうか。前述のようにエクセルシステムの開発を担当される方は社員さんであるケースが多く、その人が配置換えで別の支店に異動してしまったり退職してしまったりすると、ある程度の引継ぎをおこなうことは可能かとは思いますが、それでも他人が開発したエクセルを後任の人がメンテナンスをおこなうのは至難の業であると言えましょう。

 ではこれらのデメリットを無くすにはどういった方法が考えられますでしょうか。理想を言えば、現在ご使用されておりますエクセルシステムを機能そのままに本格的なデータベースを用いた専門的なシステムを構築することだと思いまして、実際弊社でも以前に何度かそういったお問い合わせをいただき、個別製造原価の算出システム等をエクセルのシステムを元にしてWEBシステムに切り替えさせていただいたことはございます。

 この方法の何が一番良いところなのかと言いますと、メリットを享受しながらデメリットを潰せるという点になります。どういうことかと言いますと、何も無い状態からシステムを組み上げていく展開ですと、メリットの欄に書かせていただいたようにシステムの仕様詳細を決定する為に多くの関係者さんと長時間かけて要求事項に対する聞き取り調査をおこなう必要があります。またシステム納品後も当初の思惑と違っていたり、使っていくうちに様々な問題が発生したりと、システム本稼働に至るまでのプロセスは多く、ゴールは遥か彼方という状況に陥るケースは多いのではないでしょうか。これに対してエクセルシステムが存在しているということは、前述のプロセスは既にクリアになっているということで、いわゆる遥か彼方に遠ざかって行く筈のゴールが、エクセルの中に提示されている状況であるとも言えます。この為システム開発をおこなう側とすれば、エクセルの内容を解析して同じ機能を実現すれば良いのですから、もちろんそれはそれで大変な作業ではあるのですが、何も無い状況からシステムを組み上げていくよりは、はるかに少ない工数でシステム本稼働に行く着く形になると言えるでしょう。

 ということで、今回はエクセルシステムを本格的なシステムに置き換えるというお話をさせていただきましたが、もし現在同じような問題で社内でご使用されておりますエクセルシステムについて頭を悩まされている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談をいただけますでしょうか。

膨張を続けるエクセルシステムの例1

膨張を続けるエクセルシステムの例2

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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