【タイ】タイ国立開発行政研究院(NIDA)が5月24~30日にバンコク都民の有権者を対象に実施した世論調査(回答者2000人)で、就任1年を迎えたチャチャート・バンコク都知事への評価は「大変満足」27.8%、「やや満足」47.5%と肯定的な評価が75%を超えた。「現場で直接人々の声を聞き、問題解決に取り組む」、 「勤勉」、「街が良い方向に変わった」といった評価があった。
都知事本人は13日の記者会見で、就任1年目の自身への評価を10点満点中5点とした。汚職取り締まり、生鮮市場の開発などがうまくいっておらず、洪水対策の排水トンネルやごみ焼却場の建設といった大規模なインフラ開発に着手できていないと認めた。一方、オンラインの苦情受け付けシステムを稼働させ、歩道の整備、ごみの分別、学校へのパソコン支給などを進めたと説明した。また、都職員の働き方を都民中心に変えるよう努力していると話した。
《チャチャート・シティパン》
1966年、バンコク生まれ。父親は元バンコク首都警察長官、祖父は元閣僚、伯父は元枢密顧問官。タイ国立チュラロンコン大学工学部卒業後、米マサチューセッツ工科大学で工学修士号、米イリノイ大学アーバナシャンペーン校で工学博士号を取得した。チュラロンコン大学工学部で教鞭をとるかたわら、複数の国営企業の取締役を兼任。2012~2014年にタクシン元首相派インラク政権(2011~2014年)で運輸相、2015~2018年にタイ証券取引所(SET)上場の不動産デベロッパー、クオリティーハウスの最高経営責任者(CEO)を務めた。2022年5月22日のバンコク都知事選で過去最多の138万6215票を獲得して当選し、6月1日、第17代のバンコク都知事に就任した。
既婚で、子どもが1人いる。10キロ以上のランニングが日課。高学歴のエリートである一方、公共交通機関を日常的に利用するなど、庶民的、現代的なイメージがある。スポーツや音楽の振興、都民、都庁職員と気軽に交流する庶民的なスタイル、そして性的マイノリティであるLGBTQへの差別に反対するなどリベラルな政治姿勢と同時にタイ王室への敬意も忘れないバランス感覚で、幅広い層から支持を集めている。