【タイ】社会開発人間安全保障省は10月12日、米国務省が公表した2026年版人身取引報告書(TIP Report)で、タイが前年に引き続き「Tier2」に格付けされ、2022年以降5年連続で同水準を維持したと発表した。Tier 2は、「最低基準は完全には満たしていないが、その達成に向けて相当の努力を行っている国」。
同報告書は世界188国・地域を対象に、人身取引の防止・取り締まりに関する各国の取り組みを評価している。「人身取引対策に関する最低基準を満たしている国」のTier 1から「最低基準を満たしておらず、その達成に向けた十分な努力も行っていない国」のTier 3までの4区分。
タイについては、人身取引対策予算の拡充、関与した公務員の摘発、人身取引被害の可能性がある人への保護支援、オンライン詐欺組織から逃れた被害者の救出・帰国支援における国際協力などが評価された。資金の流れを遮断するための関係機関の連携や、国際犯罪対策の強化も前進として挙げられた。
一方、人身取引事件として認定された事件数や被害者数の減少、特に強制労働や犯罪行為への強要事案における被害者の発見・認定手続きの不均一さが課題として指摘された。国家紹介・照会メカニズム(NRM=National Referral Mechanism)の運用停止への懸念、タイ・ミャンマー国境地帯で一時期実施された迅速送還、外国人被害者の保護施設外での滞在に関する制約、水産業や水産加工業での一部労働者保護措置の縮小、公務員による汚職や関与も問題点とされた。
社会開発人間安全保障省は、関係機関と連携して報告書の指摘や提言を今後の対策に反映させる方針を示している。被害者の早期発見と実効性ある支援、尊厳に配慮した保護を重視するとともに、NRMの全国的な標準化と運用強化を進める。
また、多職種連携チームの能力向上や通訳を活用した聞き取り体制の整備を進め、被害者中心かつトラウマに配慮した支援体制の構築を目指す。特に、強制労働や犯罪行為への加担を強いられた被害者については、人身取引の結果として行われた行為を理由に処罰しない原則の推進を図るとしている。
同省はさらに、安全な居住環境の確保、移動の自由、心理社会的支援へのアクセス、帰国支援などの面で被害者保護の障害となっている要因を見直す。被害者の希望や実情に即した支援体制を整備する。
ほか、同省が整備を進める人身取引国家データベース(E-AHT)を活用し、被害者の保護・支援の引き継ぎや個別事案の追跡、政策立案を進める。あわせて、偽装求人やオンライン上での搾取の防止に向け、政府機関、民間団体、民間企業、国際機関との連携強化を進める。


























