【タイ】アヌティン・チャーンウィーラクーン首相率いるプームジャイタイ党は、タイ公共放送(Thai PBS)、タイ健康促進財団(ThaiHealth)、高齢者基金、国家スポーツ振興基金に配分されている酒税・たばこ税由来の特定財源を廃止し、国庫に一元化する法改正案を提出した。政府財政の安定性と財政規律の強化を目的としている。
タイ公共放送法改正案は9月30日に意見公募を開始し、立法手続きに入った。党が提出したほかの法改正案も同様に、酒税・たばこ税収をいったん国庫に納めたうえで、必要に応じて各機関に予算配分する仕組みへの移行を目指す。
改正案はいずれも、憲法および2018年国家財政・金融規律法が求める厳格な財政規律の維持を根拠としている。同法は、特定の国家機関の支出に充てる目的で新たな税を徴収する制度を原則として認めていない。施行前から存在した特定財源制度は経過措置によって維持されているが、改正案ではこれを廃止し、財政規律の原則に沿った制度に見直す。
健康促進財団法改正案では、2027年10月1日から酒税・たばこ税収の2%を充当している現行制度を廃止し、毎年度予算による財源確保に移行する。「政府は毎年補助金を支出する」との規定も、「必要に応じて補助金を支出する」に改められ、財政事情に応じて補助金を削減または見送ることが可能となる。
高齢者法改正案では、高齢者基金の財源から酒税・たばこ税収を除外する。低所得高齢者への生活支援給付も、酒税・たばこ税収に代えて、1)国家予算、2)寄付金、3)基金の資産運用収益を財源とする仕組みに変更する。
国家スポーツ振興基金に関する規定(タイ国スポーツ庁法)の改正案は、国家スポーツ振興基金の財源から酒税・たばこ税収を除外する。基金自体は存続し、必要に応じた予算措置を含むほかの財源は引き続き活用できるが、スポーツ振興や競技力向上に必要な資金を十分に確保できるのかという懸念がある。
4法案が国会で成立した場合、政府は年間140億バーツ(660億円相当)の酒税・たばこ税収を国庫に取り込むことができる。政府は国庫に取り込んだ年間140億バーツの酒税・たばこ税収を、政府の所管業務や政策遂行のために配分できるようになる。その一方、タイ公共放送、健康促進財団、高齢者基金、国家スポーツ振興基金への配分額は政府判断に左右されるため、支援が縮小する可能性がある。
高齢者基金では特に、高齢化に伴って支出が増加している。高齢者基金の2025年決算では、収入41億6000万バーツのうち40億バーツを酒税・たばこ税収が占めた。一方、支出は46億600万バーツに達し、収入を上回った。特定財源を廃止して予算措置に切り替えた場合、高齢者人口の増加に伴い政府負担が拡大すると見込まれる。

























