アルコール飲料最大手のタイビバレッジ、来年度に90億バーツ投資 清涼飲料・酒類・食品事業を強化

【タイ】アルコール飲料最大手「タイビバレッジ」は、2026会計年度(2025年10月~2026年9月)で総額90億バーツ(400億円相当)を投資する計画だ。清涼飲料、蒸留酒、ビール、食品の各事業に振り分け、基盤強化と成長戦略を進める。

 投資内訳は、清涼飲料事業に40億バーツ、蒸留酒事業に20億バーツ、ビール事業に20億バーツ、食品事業に10億バーツ。

 ターパナ・シリワタナパクディ最高経営責任者(CEO)は、世界・地域経済の減速や通商政策の不透明感に言及しつつ、「新政権の経済運営により10月以降は前向きな兆しが見えている」と述べた。長期戦略「パッション2030」に基づき、流通網の拡充とコスト競争力の確保、デジタル技術を活用した効率化と消費者・取引先との接点強化を推進する。

 清涼飲料事業は、マレーシアでの乳牛牧場と乳製品工場、カンボジアでの清涼飲料工場など海外案件が中心で、国内では既存ラインの刷新や容器改良に7億~8億バーツを充てる。清涼飲料の売り上げは今年、2ケタ成長を見込む。

 蒸留酒事業に投じる20億バーツのうち10億バーツを、ニュージーランドでの生産能力拡大や英国での倉庫増設など、海外投資に充てる。ビア・チャーン(Chang Beer)製造のビール事業では、大半をカンボジア・カンダル州に建設中の新工場に投資する。年産能力は初期段階で5千万リットルを見込む。

 食品事業では、フライドチキンの「KFC」を45店新規出店するほか、日本食チェーンの「Oishi Buffet」やラーメンチェーンの「Oishi Ramen」の刷新を進める。今年リブランドしたしゃぶしゃぶチェーンの「Shabushi」に続き、Z世代やX世代の取り込みを狙う。

 系列企業が開発する複合施設「ワン・バンコク」では、外食子会社「Food of Asia」傘下のレストランチェーンの店舗展開を進め、同施設のオフィス就業者1万人の需要を取り込む計画。また、新たに立ち上げた「Sook Delivery」アプリでオフィスビル向け宅配サービスも強化する。食品事業の売り上げは2026~2030年、年平均9%の成長を見込む。

ターパナ・シリワタナパクディCEO 写真:Fraisers Propertyホームページより

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