【タイ】首相府傘下のタイ通商代表事務所のウィーラポン・プラパ通商代表は8月3日、外務省欧州局のソムルディー・プームロームネーク局長とともにエアバス・タイ本社を訪問し、持続可能な航空産業の協力拡大について協議した。両者は低炭素航空産業のエコシステム構築を加速し、持続可能な航空燃料(SAF)の開発・普及を推進する方針で一致した。
今回の協議は、アヌティン・チャーンウィーラクーン首相のフランス訪問で行われた戦略対話の延長線上にあるとされる。ウィーラポン通商代表によると、欧州連合(EU)は環境・航空分野の規制を強化しており、SAFの使用義務化が進むことはタイにとって大きな経済機会となる。エアバスの調査では、タイは年間550万トンのSAF生産が可能で、国内の全便を100%SAFで運航できる規模に加え、世界市場への輸出余力もあるとされる。国内には5100万トン以上のバイオマス資源が存在するという。
タイの強みは農産物の多様性にあり、短期的には使用済み食用油(UCO)、中期的にはサトウキビやキャッサバを原料とするATJ(Alcohol-to-Jet)技術、長期的にはもみ殻や稲わらが主要原料になると見込まれる。エアバスの報告でも、アセアン地域のSAFの40%がもみ殻・稲わら由来になると予測されている。農業廃棄物の再資源化は、農家の収入向上に加え、野焼き削減による大気汚染・微小粒子状物質(PM2.5)対策にも寄与する。
長期的な共同作業の枠組みとして、国家SAF政策委員会の設置が重要とも確認された。運輸省やエネルギー省など関係機関を統合し、政策を一体的に進めていく。EUのGlobal Gateway基金やエアバスのSAFFA基金と連携し、タイ国内原料の品質評価や技術効率の実測値を得る研究支援を進める方針も示された。タイ側は科学研究・イノベーション振興機構(TSRI)と共同でSAFのサプライチェーンマップと政策提言の策定を進めており、来年第1四半期の完成を見込む。
協議は環境分野だけでなく、航空産業の人材育成にも及んだという。高度技能人材の不足や英語力の課題に対応するため、タイ・EU自由貿易協定(FTA)交渉では、エアバスの意見を踏まえた政府調達基準の整備も検討するという。


























