タイで半導体不足、IT製品が値上がり AI需要の急拡大で市場構造が変化

【タイ】タイ工業連盟(FTI)のスパン・モンコンスティー名誉会長によると、人工知能(AI)、データセンター、クラウドサービスの急成長により半導体の需給が逼迫し、世界的に不足が深刻化している。タイでもIT製品が値上がりし、今後もさらなる上昇が見込まれるという。

 かつてはIT機器、発電設備、家電向けに広く供給されていたメモリーチップが、AI、データセンター、クラウド、ロボティクスといった新産業の需要に吸収され、世界的なメモリー不足を招いて価格を押し上げている。メモリー製造で大量に消費されるヘリウムの不足も影響している。世界有数の供給拠点であるカタール・ラスラファン施設がイランの攻撃を受け、世界供給の3分の1が停止したと報じられている。

 自動車や先端技術分野はコスト増を吸収できる一方、スマホ、ノートパソコン、家電などの一般消費者向け製品は厳しい状況にあるという。タイでは今年に入ってRAM価格が2倍以上に上昇し、一部報道では1〜3月期のメモリー価格が最大90%上昇したとされる。

 スパン名誉会長は、半導体不足はアンドロイド端末メーカーを中心にスマホ各社に長期的な影響を及ぼし、パソコンや家電メーカーにも波及すると警告。各メーカーは生産コストの上昇分を価格に転嫁するとみられ、スマホ価格は上昇し、低〜中価格帯のノートPCは10〜15%の値上げが見込まれる。

 中国の半導体メーカーが高性能チップの供給を急いでおり、不足緩和にいくらか寄与する可能性がある。スパン名誉会長は、「タイ政府は投資優遇政策や貿易措置を見直し、半導体に依存する産業の支援を強化すべきだ」と訴えている。

 タイ首相府傘下の国家半導体委員会はすでに、長期的な競争力の強化に向けて人材育成や産業基盤整備を柱とする国家戦略を打ち出し、2つの小委員会を設置。2025〜2029年に50億バーツ(250億円相当)の投資誘致を目指し、タイを先端半導体・電子産業の地域拠点として位置づける方針。

スパンFTI名誉会長 写真:สุพันธุ์ มงคลสุธี フェイスブックより

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