エネルギー高騰を受け観光戦略転換 タイ政府観光庁が近距離・国内市場を重視

【タイ】世界的なエネルギー価格の上昇と輸送コストの増大を受け、タイ政府観光庁(TAT)は、長距離市場からの旅行需要に減速の兆しが見られるとし、観光戦略の大幅な見直しを打ち出した。今後は中国、マレーシア、インドなどの近距離市場と国内観光に重点を移し、入国者数の拡大よりも体験価値を重視した持続的な成長を目指す。

 ターパニー・キアットパイブーンTAT総裁によると、2026年3月時点の分析で、中東をはじめとする長距離市場では、原油価格の高騰に伴う航空運賃の上昇や座席供給の制約を背景に、訪タイ客数が鈍化し始めていることが確認された。このため、移動距離を抑えた旅行を促す「近場旅行」の考え方を前面に打ち出し、国内向けキャンペーンを加速させている。

 タイ人旅行者の負担軽減に加え、地域密着型観光を通じて新興観光地へ収入を分散させる狙いがある。大量集客ではなく、質の高い体験を提供することで価値を創出し、環境や地域社会への配慮を強める方針。

 海外市場では成長が続く中国をはじめ、マレーシアやインドといった近距離市場への販促を強化する。中国市場は前年同期比で38%の伸びを示しており、TATはイベントを軸に需要の取り込みを図る。4月の水かけ(ソンクラーン)を国際的な催しとして位置づける「Maha Songkran World Water Festival 2026」や、年内開催予定の世界的な電子ダンス音楽(EDM)フェスティバル「トゥモローランド」を通じ、若年層や高付加価値層の誘致を狙う。

 ターパニー総裁は「長距離市場の旅行者はエネルギー価格の影響を受け、渡航を先送りする傾向が強まっている。近距離市場には需要を補う十分な規模があり、戦略転換によって短期的な安定と長期的な持続成長の両立を図りたい」と述べた。TATは「量より質」を掲げる新たな観光像のもと、タイ観光の再構築を進める考え。

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画像:タイ政府観光庁(TAT)

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