中東情勢の長期化受け、タイの銀行が貸倒引当金を積み増し

【タイ】タイ銀行協会(TBA)によると、中東での戦争の長期化に備え、タイの銀行各行が貸倒引当金の積み増しを進めている。経済成長の鈍化とコスト上昇により、返済能力の低下した債務者が増加しているため。

 パヨン・シーワニットTBA会長は4月1日、商工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)の会合後、既存の脆弱層に加え、新たに返済困難に陥る債務者が増えていると、記者団に説明。特に中小企業や一般家計が影響を受けており、銀行は既存の脆弱層と新たなリスク層の両方に対する管理を強化する必要があると述べた。

 原材料や燃料価格の高騰により、従来の事業モデルでは採算が取れなくなった企業もあり、これまで健全とされていた企業の一部が脆弱層に転じているという。戦争の先行きが不透明な中、エネルギーや輸送コストの上昇が企業の事業判断を難しくしており、生産の一時停止や事業縮小に踏み切るケースも出ている。

 パヨン会長は、「一部の企業はコスト増に耐えられず、生産を一時停止したり、事業を閉鎖したりしている。輸送費削減のために車両台数を減らす動きもある」と述べた。ただ、現時点では産業全体に広がる危機には至っておらず、銀行業界は不確実な状況下で企業を支える役割を果たしているとも強調した。

 銀行業務の基本原則に変化はないものの、長期化する不透明な環境に対応するためには、支援策の拡充と柔軟な運用が求められる。経済状況の変化を段階的に把握し、継続的な評価が必要だとしている。輸送費や原材料費の上昇に直面する企業への資金繰り支援については、単なる流動性供給では不十分であり、課題は返済能力の問題にとどまらないと指摘した。

 一方、年末にかけては観光業の回復や、タイで開催予定の国際会議などが経済活動を下支えする可能性があると述べた。ただ、直近のソンクラーン(タイ正月)期間中は地政学的な不安が影を落とすこともあるとし、警戒感を示している。

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