タイ経済に迫るベトナムの追撃 構造改革なければ2年以内に逆転も

【タイ・ベトナム】タイのメディアが専門家の経済分析として伝えるところによると、タイはベトナムに経済面で急速に追い上げられており、抜本的な改革を行わなければ、国内総生産(GDP)で2年以内に逆転される可能性がある。タイ英字紙バンコクポストが、独立系経済学者アット・ピサンワニット氏の分析を掲載した。

 タイのGDPはおよそ5000億米ドルであるのに対し、ベトナムはすでに4000億米ドルを超えており、外国直接投資(FDI)や輸出額でもタイを上回っている。教育面では、ホーチミン市経済大学が世界トップ500にランク入りしており、チュラーロンコーン大学と同水準にある。大学の数ではタイが上回るものの、ベトナムは今後5年以内に複数の大学を世界トップ300に押し上げる目標を掲げている。

 1人当たり所得では、マレーシアが年間およそ1万5000米ドルで先進国とされる一方、タイは長年にわたり7000米ドルのレベルにとどまっている。人口規模でもベトナムは1億人と、タイの6600万人を大きく上回る。

 アット氏は、タイ経済の立て直しには景気刺激策と構造改革の両輪が必要だと指摘。農業や輸出競争力の強化に加え、汚職の根絶と官僚制度の改革が不可欠だとし、「能力ではなく政治的なつながりで人材を登用する慣行を改めるべき」と述べた。

 また、「政権が任期を全うできず、閣僚が担当分野の知識を欠き、政策が国民の実情に即していない。汚職の蔓延も大きな障害」と政治の不安定さを問題視。ポピュリズム政策の長期化と構造的な経済問題が重なり、タイは「アジアの病人」と揶揄(やゆ)される状況にあると警鐘を鳴らしている。

 さらに、政治家も国民もタイ経済の慢性的な不調を認識していないと指摘。1997年の通貨危機は現在より深刻だったが、当時は構造的な問題が少なく、競合国も存在しなかった。現在はベトナムやインドネシアが主要な競争相手となり、中国の安価な製品が国内市場を席巻している。

 出生率の低下と高齢化により労働人口が減少し、国内消費も弱まっている。高齢者人口は1300万人に達している。タイはすでに高齢社会に突入しているにもかかわらず、政治家も国民もこの現実に目を向けず、給付金や農産物価格への介入といった人気取り政策ばかりが繰り返されている。

 一方、ベトナムは農業分野の競争力を高め、官僚制度のスリム化によって歳出削減を進めている。タイではプラユット政権下(2014年~2023年)で始まった東部経済回廊(EEC)構想も、高速鉄道による空港連結計画が停滞していることから、投資家の関心を十分に集められていない。東部チョンブリー県のレームチャバン深海港の処理能力も、マレーシアやシンガポールの港湾に劣っている。

 「選挙戦でも本質的な課題は語られず、共済制度、所得保証、農産物価格の介入ばかりが争点となっている。有権者も政治家もこの構造に慣れきってしまっている」と述べ、政治的なマーケティングの限界を指摘した。

ベトナム・ハノイ 写真:newsclip

関連記事

タイ・ムスリム姉妹

書籍販売
タイ・ムスリム姉妹
Thai Muslim Sisters


仏教国タイの最果て
止まぬテロの地

テロが日常と化した地に住む、どこにでもいる普通の姉妹。

トピック

  1. …
  2. …
  3. …

タイの祭り・祝日・記念日

  1. 2026-10-8

    世銀IMF年次総会 バンコクは10月16日が特別休日

    【タイ】政府は、10月12~18日にバンコク都内クイーンシリキットコンベンションセンター(QSNCC…
  2. 2026-10-7

    10月13日は「ラマ9世記念日」で祝日 崩御から10年

     10月13日(月)は「ラマ9世記念日」で祝日となる。前週末から飛び石で連休となる。  ラマ9世(…
  3. 2026-10-5

    タイ各地で「菜食週間」 バンコクでは中華街がにぎやかに

     10月9日から18日まで、タイ各地で「菜食週間(キンジェーกินเจ、ベジタリアン・フェスティバル…
ページ上部へ戻る