【タイ】タイ政府は12月2日、国内初となる気候変動に関する包括的な法案を閣議で承認した。法案には炭素税の導入や排出量取引制度の創設が盛り込まれており、低炭素社会への移行を加速させる。
同法案は天然資源環境省が提出したもので、2007年に制定された省令を格上げして本格的な気候変動関連法とする内容。ラリダー・プルートウィワタナー政府副報道官は、「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に基づく国際的な約束を履行し、2050年までのカーボンニュートラル、2065年までの温室効果ガス排出実質ゼロを目指すための措置」と説明した。排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)は開始時期が未定で、国会での追加承認が必要となる。閣議決定の段階で修正の可能性も残されているという。
タイは2019年比で2035年までに温室効果ガス排出量を47%削減する目標を掲げており、達成には今後10年間で70億ドル超の投資が必要になる。ラリダー・プルートウィワタナー政府副報道官によると、炭素価格制度による収入を投資や適応策に振り向けるため、政府は気候基金を設立する方針だという。
炭素税は特定の製品に課され、物品税局や関税局が徴収を担う。詳細は今後の政令や指針で定められる予定。炭素税に関する政策、投資、グリーンファイナンスの配分を導くため、国家的な分類基準(タクソノミー)も整備される。
炭素税に関しては今年1月、二酸化炭素排出1トン当たり200バーツを課すことが閣議で承認されている。既存の石油税に組み込まれており、石油製品の小売価格への新たな影響はない。




















