【タイ】タイ石油燃料基金事務局(OFFO)が、2029年までに債務を完済する見通しを明らかにした。2022年の原油高騰時には総額1053億バーツ(5000億円相当)に膨らんだ借入残高は、現在310億バーツまで減少しており、毎月15億~20億バーツを返済している。世界的な原油価格の安定が続けば、予定より早期に返済が完了する可能性もあるという。
政策企画室のポーンチャイ・ジラクンパイサーン室長は、今年末と2026年の国際原油価格の見通しを示し、「世界経済の回復の遅れや供給過剰、ロシア・ウクライナ紛争の影響を背景に、価格は安定的に推移する」と述べた。年末の原油価格は1バレル=70米ドル前後、LPG(家庭用ガス)は1トン=548米ドル程度と見込まれる。2026年には原油が60~70米ドル、LPGが460~500米ドルの範囲になると予測されている。
石油燃料基金(OFF)の現状は、石油勘定で270億バーツの黒字がある一方、LPG勘定で410億バーツの赤字を抱えており、全体では130億バーツの赤字となっている。政府は2025~2029年の「燃料価格危機管理計画」を策定中で、ディーゼル(1リットル:30バーツ)やLPG(15キロ:423バーツ)の上限価格の妥当性を再検討する。新たな計画はアッタポン・ルークピブーン・エネルギー相に提出された後、エネルギー政策審議会と閣議に諮られる。
アッタポン・エネルギー相は、「国民生活への影響を抑えるため、小売価格の抑制を重視する」と強調。新年に向けた値下げの有無は市場動向と政策判断次第だが、これまで石油業者は年末年始に価格を据え置く傾向があるという。
また、OFFによるバイオ燃料混合ガソリンへの補助金は、2026年9月24日をもって終了。今後は「真の危機時」に限って基金が活用されることになる。




















