【タイ】タイ保健省が、メッカ巡礼でサウジアラビアに渡航する予定のタイ国民に対し、中東呼吸器症候群(MERS)に気を付けるよう、注意を促している。世界保健機関(WHO)の発表を引用し、同国で3月1日から4月21日の間に9件の症例が確認され、少なくとも2人の死亡が報告されているとした。
MERSは呼吸器系と消化器系に影響を与える疾患で、主に発熱、咳、息切れなどの症状が現れる。重症化すると、慢性疾患を抱える患者を中心に、肺炎や腎不全に発展し、死に至ることもあるという。タイ保健省は、サウジアラビアでの正確な感染経路を把握していないとしながらも、「殺菌が不十分なラクダのミルクや加熱しきれていないラクダの肉の摂取が考えられる」とした。唾液の飛沫などで人から人に感染することもあるという。
MERSは2012年に最初の症例が確認され、これまでに27カ国で2627人が感染した。感染元の84%がサウジアラビア。
今年のメッカ巡礼は6月4日から9日までで、タイからは6603人が参加する予定。タイ保健省はすでに、医療チームをサウジアラビアに派遣したという。また、巡礼者は帰国後14日間、保健当局の監視下に置かれる。