【タイ】11年間拘束していたウイグル人を今年に入って中国に強制送還したタイ政府が、「彼らが迫害を受けずに幸せに暮らしているか」を確認するため、閣僚級の要人を中国に派遣する。ペートーンターン・チナワット首相やプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相などが、強制送還の正当性を繰り返し主張していたが、国内外からの批判が止まず耐えきれなくなったもよう。
プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相、タウィー・ソートソーン法相、ジーラユ・フアンサップ政府報道官らが、今日(3月18日)にも中国に向けて出発し、中国新疆ウイグル自治区カシュガルを視察する。タイの一部メディアも同行する。
タイ政府がウイグル人40人を強制送還したのは2月27日。ペートーンターン首相が中国訪問から帰国して間もない頃だったため、「中国政府との取引・密約」と噂された。首相やプームタム副首相はうわさを否定し、「二国間合意によるもの」という説明で切り抜けようとしていたが、国内外からの批判は収まらなかった。今月14日には米政府が、「強制送還に関与したタイ政府職員へのビザ発給の制限」を発表。タイ政府は慌てて「ウイグル人訪問」という苦肉の策を打ち出した。メディア同行に関しても、当初は政府寄りの記者のみが選抜されると伝えられ、こちらも批判を受けて否定した。
今回の強制送還に関しては、「送還されれば中国当局から迫害を受ける危険がある」と警告していた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が「強制送還は遺憾」と発表。在タイ日本国大使館は「ウイグル人の強制送還によって、タイ国内でテロの脅威が高まる可能性がある」とする注意喚起を発出した。
ウイグル人40人が乗せられたとされる警察車両