【タイ・中国】タイ政府が2月27日、タイに不法入国して11年間拘束していたウイグル人40人を中国に強制送還した。記者に質問されたペートーンターン・チナワット首相は明言を避けたが、在タイ中国大使館がホームページ上で送還を確認する声明を発表した。
強制送還については、タイ公平党のカンナウィー・スープセーン下院議員が27日朝、バンコク・スワンプルー通りの入国管理局を午前2時過ぎに出ていく、窓を黒く目張りした警察車両の写真をフェイスブックに掲載し、「ウイグル人が強制送還される可能性がある」と投稿したことをきっかけに、情報が飛び交った。カンナウィー議員はその後もフライトレーダーを使用して追跡、中国南方航空機が午前5時前にドンムアンを離陸し、6時間後に中国新疆ウイグル自治区のカシュガル空港に着陸したことを突き止めた。
ロイター通信によると、ペートーンターン首相は記者の質問に対し、「国際基準と人権原則に努めなければならない」とのみ答えた。プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相は、「中国政府が保護を確約した」ことによって送還に踏み切ったと答えた。キティラット・パンペット・タイ警察長官は記者から問われて返答を拒否していたものの、やがて「ほかの中国人8人と共に送り返した」と認めた。在タイ中国大使館はホームページ上に、「タイで10年以上拘留されていた不法入国の中国人40人が送還された。通常の生活に戻れるよう支援する」という主旨の声明を発表している。
一方、送還されれば中国当局から迫害を受ける危険があると警告していた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、「強制送還は遺憾」というコメントを発表した。また、在タイ日本国大使館は、バンコクではウイグル人が中国に送還された2015年に(ウイグル人による)爆弾テロが発生、少なくとも20人が死亡、日本人を含む125人がけがをしたことを挙げ、今後起こり得るテロ行為に関する注意喚起を発出した。
カンナウィー議員フェイスブックより