外国人による土地の違法所有、タイ首相が取り締まりの本格化と強制売却を指示

【タイ】政府は、タイ人名義貸し(ノミニー)行為による外国人の土地所有や違法事業の取り締まりを本格化し、リスク案件の一斉調査と違法に所有された土地の強制売却を進める方針を打ち出した。新たなノミニー行為を防止するとともに、「違反者には厳正に対処し、適法に事業を行う者には公正に対応する」との原則を改めて強調した。

 アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は首相府で10月19日、内務省土地局が主導する「ノミニー撲滅作戦」の開始を宣言した。土地局はこれまで、関係機関や各県のノミニー調査委員会と連携して調査を実施。その結果、外国人の土地所有を隠すためのタイ人名義貸し、またはその疑いがある案件1397件を確認した。対象は2360筆、総面積5467ライ(1ライ=1600平方メートル)で、現在の評価額は140億1000万バーツ(660億円相当)に上る。政府は違法性が認められた案件について強制売却を進めるほか、民事・刑事の両面から法的措置を講じる。

 首相は、「ノミニー行為による外国人の土地所有は、国の重要な資源である土地の公正な利用を損なうだけでなく、国家安全保障や法執行への国民の信頼にも悪影響を及ぼす」と指摘。政府は犯罪資金、違法事業、ノミニーネットワークの取り締まりを進めており、関係機関の連携によって具体的な成果が挙がっていると評価した。

 「摘発件数の多さではなく、個別案件を確実に決着させ、法執行の実効性を担保することが重要」とし、法人情報、株主構成、資金源、土地の所有・利用状況、資金移動、実質的受益者に関する情報を関係機関が共有し、連携して対応する必要があるとの認識を示した。また、投資委員会(BOI)と連携して関連する権利や条件を精査するよう求めた。

 政府は今後、1)リスク案件の調査を加速し、案件ごとに責任者や手順、期限を明確化したうえで、ノミニーネットワークやそのほかの違法行為との関連が判明した場合は速やかに関係機関に引き継ぐ。すべてのリスク案件の調査は今年12月までに完了させる、2)違法な土地所有が確認された案件について法に基づく強制売却を進めるとともに、土地譲渡の経緯や関係者の行動を調査し、名義人だけを入れ替えて問題を温存する行為を防止する、3)新たなノミニー利用を防ぐ長期的な監視体制を構築する。権利登記や法的手続きの前後を通じた監視システムを強化し、株主構成の変化や外国人の土地所有につながる不審な動向を継続的に監視する。また、国民や事業者への制度周知、通報窓口の整備、捜査に支障を与えない範囲での定期的な情報公開も進める――、とした。

写真:タイ首相府

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