【タイ】シアン化合物を用いて知人など14人の殺人容疑と1人の殺人未遂容疑で2023年4月25日に逮捕されたタイ人の女、サラーラット・ランシウッターポーン容疑者(37)が殺人罪に問われた裁判で、刑事裁判所は11月20日、被害者1人の事件で死刑判決を言い渡した。ほか14人については、警察が捜査を続けている。
サラーラット容疑者は昨年2023年4月13日、放生会のために女性実業家の知人と西部ラーチャブリー県バーンポーン郡内のメークローン川に行き、その知人にシアン化合物を飲ませて殺害し、15万バーツ相当の貴重品を持ち去ったとされる。
同事件をきっかけに警察が本格的な捜査を開始したところ、2020年12月から2023年4月にかけてサラーラット容疑者の周囲の男女10人が変死していたことが分かった。いずれも同容疑者と会食するなどした後の急死で、所持していた現金や貴重品がなくなっていた。その後、同容疑者が殺害したと見られる被害者は14人にまで増えた。もう1人は未遂で命を取り留めている。今回の判決は、2023年4月の事件。
一連の犯行に衝撃を受けたタイ国民は、サラーラット容疑者に「シアン化合物のエム」というあだ名を付けた。エムは同容疑者のニックネーム。警察は、オンラインギャンブルに使用していた銀行口座を突き止め、2020年1月から逮捕後の2023年5月までの間、9500万バーツ相当の取引が記録されていたことを確認。同時に、多額の借金を抱えていたことも調べており、同容疑者が常に金銭が必要な状況だったと見ている。