違法ビジネスと権力闘争 疑惑のタイ警察長官と副長官が事実上停職処分
- 2024/3/20
- タイ社会
【タイ】タイの公共放送タイPBSなどによると、セーター首相は20日、タイ警察のトーサク長官とスラチェート副長官をタイ首相府付に異動し、事実上の停職処分とした。トーサク氏とスラチェート氏をめぐる疑惑の捜査のためで、潔白が証明されれば復職させる方針。それまでの間、キティラット副長官が長官代行を務める。
トーサク氏とスラチェート氏は昨年、警察長官ポストを争い、9月27日、首相を委員長とするタイ警察委員会会合で、トーサク氏の昇進が決まり、10月1日にトーサク氏が警察長官に就任した。トーサク氏は4人いる副長官のうちで副長官に昇進したのが最も遅く、序列重視のタイ警察では異例の人事だった。トーサク氏の兄のスティポン退役空軍大将は宮内庁長官兼王室財産管理局長。警察委員会会合の前日には、オンライン賭博サイトの捜査の一環として、スラチェート氏とその部下の自宅など約30カ所が家宅捜索を受けた。
スラチェート氏はトーサク氏との確執がうわさされたが、トーサク氏の長官就任後、トーサク氏と肩を組んだ写真をSNSに投稿し、うわさの払拭を図った。一方、警察幹部の秘密情報を握っているとも示唆した。
スラチェート氏と賭博サイトをめぐる疑惑の捜査はその後、いったん立ち消えとなったが、今年に入り、タイ汚職取締委員会を中心に捜査が再開され、スラチェート氏に召喚状が出る事態となった。スラチェート氏は疑惑を否定し、賭博サイトの運営者が頭文字「T」の警察幹部に巨額の賄賂を渡し、スラチェート氏の失脚を図っていると主張した。
2人は20日、タイ首相府を訪れ、セーター首相と面会し、事実上の停職処分を受けた。その後、2人そろって記者会見を開き、確執を否定した。
タイの警察、軍の幹部は数億、数十億バーツという多額の資産を持つことが多いが、資産の出どころが調査されることはほとんどない。