タイ投資委員会、国家半導体ロードマップ初案を公表 2050年「Made‑in‑Thailand Chip」実現へ

【タイ】投資委員会(BOI)は、タイ国家の半導体産業の将来像を示す「国家半導体ロードマップ」の初案を公表した。半導体政策を担う「国家半導体・先端電子産業政策委員会(半導体委員会)」が初めて草案を審議し、5つの推進メカニズムを柱に、2050年までに「Made‑in‑Thailand Chip」の半導体産業を確立し、地域の中核拠点となることを目指す。今後25年間で2兆5000億バーツ(12兆円相当)超の投資誘致と、高度人材の国内育成を掲げる。

 ナリット・タートサティーラサックBOI事務局長によると、エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相が議長を務める半導体委員会が1月7日、国家半導体・先端電子産業の発展戦略案について意見交換を行った。戦略案は2025年4月から策定が進められ、ドイツの戦略系コンサルティング会社ローランド・ベルガーが調査・作成を担当。BOI、国家経済社会開発委員会(NESDC)、工業省、マイクロエレクトロニクス技術センター(TMEC)、高等教育・科学・研究・イノベーション政策評議会事務局(NXPO)などで構成する小委員会の監督の下、国内外の民間企業とも連携してまとめられた。

 策定にあたっては、国内外の関係者との協議や詳細なデータ分析を通じ、世界およびタイのサプライチェーン全体の産業環境、競争力、各国の支援策、産業エコシステムの成熟度、投資誘致の可能性などを総合的に評価した。これを踏まえ、ビジョン、目標、指標、段階別の産業発展戦略、適切な支援策、実行に移すための推進体制を整理した。今回の草案は、2025年10月に関係者からの意見聴取やパブリックコメントを経ている。

 地域内での比較では、シンガポールやマレーシアといった先行国、ベトナムやフィリピンなどの競合国と比べ、タイの半導体産業は発展途上にあるものの、インフラ、人材の質、事業環境、政府支援、下流産業の厚みといった点から、成長と競争力強化の余地があると分析した。特に、タイの主要産業で需要が見込まれる電力用、センサー、フォトニクス、アナログ、ディスクリートの五分野の半導体に注力すべきだとしている。これらは自動車、電子機器、通信、データセンター、AI、オートメーション、医療分野での活用が期待される。

 戦略案は、既存の強みを生かしつつ新たな能力を育成し、上流から下流までの生産連携を強化することで、「Made‑in‑Thailand Chip」の半導体を実現する方針を示した。2026年から2050年までの25年間で2兆5000億バーツ超の投資を呼び込み、23万人以上の人材を育成し、半導体産業の包括的なエコシステムを構築する。最初の5年間は、組み立て・検査受託(OSAT)やIC設計、先端電子製品といった強み分野の拡充に加え、ウエハー製造など上流工程への投資誘致を進め、将来の中核企業となる国内企業の育成にも取り組む。

 目標達成に向け、戦略案は5つの推進メカニズムを提示。第1に、補助金や長期低利融資などの優遇措置による投資誘致。第2に、産学連携による高度人材育成や専門職訓練の強化。第3に、TMECや大学の研究拠点の高度化、官民学連携による研究開発の推進。第4に、クラスター形成や水・電力、特に再生可能エネルギーの整備、災害対策の強化といったインフラ整備。第5に、許認可の迅速化、米欧との半導体分野の通商協議、政府調達を通じた国内企業支援、などの事業環境の構築を進める。

 ほか、タイの強みと親和性の高い半導体分野を明確に定め、自動車や家電・電子産業など既存の基幹産業と連携させることで、長期的な国際競争力を確保する必要性も確認された。海外投資の誘致と並行して、国内企業がサプライチェーンに主体的に参画できる環境づくりが重要だとしている。

写真:タイ首相府

関連記事

トピック

ページ上部へ戻る