【タイ】タイの複数メディアが10月下旬から、「33カ国が72時間分の食料や生活必需品の備蓄を推奨している」とする海外報道を相次いで紹介し、タイ国内で関心が高まっている。政府は国民に対し、「備蓄を指示した事実はない」とし、不安の払拭に動いている。
これまでの報道では、欧州各国や日本などで非常時に備えた家庭内備蓄が推奨されている状況が紹介されている。各国政府は自然災害、停電、サイバー攻撃、武力衝突などへの備えとして、数日分の水や食料、医薬品などを確保するよう住民に求めている。
日本では11月2日の防災庁発足に合わせ、細野豪志防災相が国民に対し「最低3日間、できれば1週間分」の水や食料の備蓄を求める緊急要請を発出。今回のタイでの一連の報道のきっかけになったとみる向きもある。
こうした海外動向を受け、タイ国内のSNSでは「戦争への備えが必要なのではないか」「タイ政府も備蓄を呼び掛けたのではないか」といった憶測が拡散した。一部大手メディアは、「大規模戦争(第3次世界大戦)への備え」との専門家のコメントを取り上げた。
これに対して国家安全保障会議(NSC)は10月29日、「政府が国民に72時間分の食料や医薬品の備蓄を求めた事実はない」と説明した。国防省も同日、「現時点で買いだめをする必要はない」との見解を示した。
一方、内務省災害防止軽減局(DDPM)は11月2日、災害や緊急事態への一般的な備えとして、72時間分の生活必需品を収納した非常持出袋の準備を推奨。「これは従来から実施している防災啓発活動の一環」であり、「特定の国際情勢を念頭に置いたものではない」としている。非常持出袋には飲料水、保存食、常備薬、懐中電灯、携帯電話用充電器、重要書類の写し、現金、衛生用品、衣類などを入れておくことが望ましいとされる。
今回の騒動についてタイ政府は、「海外での備蓄推奨は戦争対策に限らず、自然災害や大規模事故など幅広い緊急事態への備えが目的」と説明し、国民に対し冷静な対応を呼び掛けている。


























