【タイ】ピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は9月28日、トヨタ自動車のアジア地域統括最高経営責任者(CEO)である前田昌彦氏らと会談した。自動車技術や次世代モビリティの開発動向について説明を受けるとともに、タイの交通システムへの活用や今後の協力の可能性について意見交換した。
首相府が公式ウェブサイトで発表した。ピパット副首相は、移動の利便性や安全性の向上、環境負荷の低減、交通サービスへの公平なアクセスの実現といった点で、トヨタの技術開発の方向性は運輸省の方針と一致しているとの認識を示した。
トヨタは、自動車メーカーからモビリティ企業への転換を進める戦略を説明。「Mobility for All(すべての人の移動)」とカーボンニュートラルを柱に、各地域の事情に応じた最適な技術の導入を目指しているとした。また、電気自動車(EV)に加え、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バイオ燃料、水素、燃料電池など、多様なエネルギー技術を各国のインフラやエネルギー事情に応じて活用する方針を紹介した。
自動運転技術については、車載技術、AI、センサー、道路利用者、交通インフラとの連携により交通事故ゼロの実現を目指しているとした。自動運転シャトル「e-Palette」、ロボタクシー、車両とインフラをデータで連携させる技術なども紹介。ほか、電動垂直離着陸機(eVTOL)を活用した次世代航空モビリティや、移動手段、インフラ、都市サービスを統合するモビリティサービス基盤の構想についても説明した。
ピパット副首相は、新技術の導入に前向きな姿勢を示す一方で、タイでの実用化には法制度や安全基準、インフラ整備、コスト、国民の受容性などを総合的に検討する必要があると指摘。特に自動運転については、技術導入に加え、人的ミスの削減や交通規律の向上も重要だと強調した。
エネルギー転換に関連して、農業国であるタイにはサトウキビ、キャッサバ、パーム油などを原料としたバイオ燃料の活用余地があると説明。タイの実情に合ったエネルギー技術の発展は、交通分野や環境対策だけでなく、農産物の付加価値向上にもつながるとの考えを示した。一方、水素と燃料電池については、水素の製造・供給コストが依然高いことが普及に向けた大きな課題との認識で双方が一致した。
ピパット副首相は、トヨタの投資が自動車生産だけでなく、雇用や人材育成、関連サプライチェーンの発展にも貢献してきたと評価。そのうえで、今後もタイを重要な生産・投資拠点として活用し、新たな技術やイノベーションの導入を進めるよう要請した。
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