【タイ】中国系自動車大手グレートウォール・モーター(GWM、長城汽車)のタイ法人「GWMタイランド」は9月24日、2023年に開始した完成車の輸出が好調で、2025年末までに累計5000台を突破する見通しを明らかにした。主力は電気自動車(BEV)の「ORA」シリーズとハイブリッド車(HEV)の「TANK」シリーズで、アセアン諸国、豪州、中南米、アフリカ諸国向けの需要が伸びているという。
タイ東部ラヨーン県の「GWMスマートファクトリー」は年産8万台の組立能力を維持し、同社の世界輸出拠点として戦略的役割を担っている。2023年にベトナムおよびインドネシア向けに「HAVAL H6 HEV」などの輸出を開始し、2024年には「TANK 300」「TANK 500」を投入。2025年にはマレーシア、豪州、ブラジルなど9カ国・地域に輸出網を広げた。今年8月末の時点で累計4000台を出荷しており、年内に5000台を超える見通しだ。
2025年は特にEV輸出が本格化し、3月以降「ORAグッドキャット」1000台超を豪州およびブラジルに輸出。タイ政府が2030年までに国内生産の車両30%をゼロエミッション車(ZEV)とする目標を掲げる中、同社はタイ初のEV輸出メーカーとして存在感を高めている。
累計輸出の上位市場はインドネシア、ブラジル、ベトナムで、主力車種は前述の「TANK 500 HEV」「ORAグッドキャット」「TANK 300」など。今後は輸出先と車種の拡大を進め、グローバル市場での競争力を強化する方針だ。
GWMは、中国・保定市に本社を置くSUVとピックアップトラックを主力とする大手自動車メーカー。2003年に香港証券取引所、2022年に上海証券取引所に上場、世界でおよそ7万人の従業員を抱える。中国国内では主要メーカーの一つと位置づけられ、8年連続で年間生産・販売台数が100万台を超えている。170カ国・地域に販売網を持ち、拠点数は1000カ所超を数える。累計の海外販売台数は140万台を突破、2023年以降の年間海外販売は30万台超。